福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

台湾と中国

 先日、日華議員懇談会のメンバーとして平沼赳夫会長らとともに台湾の馬英九総統の就任式に参列してきました。民主的なプロセスを経て再選をされた馬英九総統を祝福するとともに、台湾の民主化が成熟段階に至ったことに敬意を表したいと思います。
 私は浪人時代からさまざまな日台交流に関わらせていただき、当選後は李登輝元総統の私邸にお招きいただいたり、馬英九総統とも東アジア情勢について1時間余りの時間意見交換させていただいたりしてきました。また先ごろ離日された馮寄台前大使閣下には大変可愛がっていただき、何度も白金の代表処でお酒を交わさせていただきました。そんな縁もあって、式典の前日の夜に台北に到着したのにもかかわらず、大変なおもてなしを受けて、あらためて日台関係が、昨今の中国のスパイ騒動とは別世界の、気の置けない太く強い絆で結ばれた関係であることに感銘をしました。ちなみに、馬総統の就任演説は、経済連携の強化、少子高齢化社会を迎えての財政再建再生可能エネルギーなどのエネルギー戦略などで、日本の総理大臣の所信表明演説ではないかと思えるほど、我が国と同じような課題を抱えていることを改めて認識させられました。
 そんな温かい台湾から戻ってみると、中華人民共和国程永華大使からの封書が届いていました。先月亡命チベット政府のロブサン・センゲ首相の講演会に出席したことに対する抗議の手紙です。私は、同志の長尾敬議員や向山好一議員とともにこの手紙に対する所感を大使あてに手渡すこととし、昨日記者に報告をいたしました。同僚の緒方林太郎議員はこれを英訳し、海外に発信してくれます。さすがに民主党議員は多才です。文章の起草は私の手によるものなので、私の考えは下記に転載した通りです。海峡を隔てた両者がかくも違うものなのか、ということに国際政治の厳しい現実があります。

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中華人民共和国駐日本国特命全権大使 程永華閣下

 過日は中国のチベットと新疆にかかわる問題について、貴国のお立場を分かりやすく説明した資料をお送りいただきありがとうございました。私たちは、かかる貴国のご主張についてはかねてよりそれなりに承知しているところです。また、貴国の近年のめざましい近代化及び発展に心から敬意を表するとともに、日中両国が経済的な結びつきを強める中での両国の成熟した友好関係の強化を心から願っております。
 このたびは、送付されてきた資料についての若干の私たちの感想を申し伝えさせていただきます。同資料の中には、
「いかなる国の政府関係者も、いかなる形、名目でも、ダライと接触することに反対する。われわれは国会議員の皆さんがダライとロブサン・センゲの中国の分裂を図る反中国の本質をはっきり見抜き、「チベット独立」勢力を支持せず、舞台を提供せず、いかなる形でも接触しないことを希望する。」
「日本政府がこれ(註:日本での世界ウイグル会議の開催)を認めれば、それは中国の内政に対する干渉であり、中国の安定と安全利益を損なうだけでなく、日本自身の安全にも害がある。」
との主張がありました。貴国において、チベットや新疆の住民の方々との関係がうまくいっていないことは理解をいたしますが、私たちの国日本の憲法には第19条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」、第21条に「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という規定があり、このような思想・信条の自由、集会・結社・表現の自由は、今や成熟した近代国家では普遍的な価値観であると考えています。我が国では、たとえ特定の地域の住民がその地域の独立を訴える言論や集会の開催をしたとしても、それをもって政府が弾圧したり、罪を問うたりすることは絶対に許されません。仮に我が国国民が貴国において反日的な言論を弄し、それを貴国が支援したとしても、それを日本国政府が弾圧することも絶対にありえません。たとえ異なる意見や価値観、政治的信条があったとしても、それが言論空間や政治の場で主張されるのであれば、完全なる自由が保障されているのです。このような普遍的な価値観を体現している社会に住む人間にとって、このたびのロブサン・センゲ氏の来日や世界ウイグル会議の開催について、貴国が「内政に対する干渉」「日本自身の安全にも害がある」と主張されることは、全く理解ができません。
 私たちは、貴国の人権擁護の状況について近代国家の普遍的な価値観に照らした見解を持ってはおりますが、それをもって貴国を直接的に批判するなどの「内政干渉」をするつもりはありません。それぞれの国にはそれぞれの国の歴史や文化、社会の状況等に基づく価値観があり、お互いがそれを尊重した中にこそ、真の「戦略的互恵関係」は存在するものと確信しているからです。最後に、近年の目覚ましい経済成長によって世界やアジアにおいて重要な役割を果たすことを期待されている貴国が、近代における普遍的な価値観を尊重し、多様性を認めることのできる成熟したパートナーとなることを期待いたしまして、私たちの思いをお伝えさせていただきます。

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