福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

官僚たちの夏②

 引き続いて永田町周辺の状況を書き記します。最近、「政府・民主党は30日、年金や医療制度の将来像を話し合う「社会保障制度改革国民会議」について、国会議員は委員としない方向で調整に入った。」(7月30日日経新聞)という報道がありました。今回の消費増税は、社会保障制度改革と一体で行うことが建て前となっております。しかし、消費税倍増引き上げは民主・自民・公明の三党で一致しても、社会保障制度改革のあり方については与野党の考えの相違は大きく、ねじれ国会の下では年金制度や医療制度などの改革法案の成立は困難です。そのため、1年間かけて社会保障制度改革国民会議で議論を行なった上で、その審議の結果等を踏まえて必要な法制上の措置を講じることとなりました。私は、ねじれ国会の下ではこうしたやり方をとらざるを得ないと考え、これを規定した社会保障制度改革推進法案には、賛成票を投じさせていただきました。

 社会保障制度改革を進めるにあたって、国は憲法25条に規定する「文化的な最低限の生活を保障」するために一体どの程度の社会保障を提供する必要があるのか、その実現のためには税や保険料としてどの程度のご負担をどのようにして国民にしていただかなければならないのか、という本質的な議論は避けて通れません。これこそ、政党同士、政治家同士で議論を行い、最終的には国民の皆さんにご判断いただく問題であると考えております。こうした観点から、同法案には「委員は、国会議員であることを妨げない」という規定を置いておりました。「妨げない」という文言には、裏でこの文言を作成して自民党に振りつけた官僚たちの「政治家が入って議論したら面倒くさいから嫌だけど、仕方ないから入れてあげる」という本音が透けて見えると思っていたのですが、案の定政治家は外されることになりそうなのです。

 原子力規制では、御用学者の集団である原子力安全委員会がお墨付きを与えることで、規制を受ける事業者や役所の都合の悪いことが隠蔽されてきました。官僚たちはこれまで、都合が悪いことの隠れ蓑に審議会を利用してきたのです。すなわち、「専門家のご意見を求める」という名目で自分たちの都合のいい言説しか吐かない御用学者を集め、だれも責任を取らなくて済む行政を繰り返してきたのです。今回の社会保障制度改革も、このままでは同じ轍を繰り返すことになるでしょう。財務省の影響力がこれまでになく大きい現政権では、財政事情に配慮した社会保障制度の「見直し」(=切り下げ)を主張する学識者が過半数を占めることとなるでしょう。そして、そうした財務省の主張を取り入れた成案を、民自公の三党は国会で通して行くということになり、国民の皆さんの投票で選ばれた国会議員は「官僚作成法案の国会通過マシーン」に成り下がることとなります。これこそ、3年前の総選挙で国民が壊そうと意思を示していただいた旧政権下での官僚主導政治そのものの姿に他なりません。

 もうそろそろこの政権も、どこかで記憶のある官僚主導の腐臭がしてまりました。でも、まだこれらの法案は参議院で審議中です。私は、消費増税に反対・棄権した1年生議員の同士たちとともに、法案の修正を求め、官僚たちによって将来の国民の負担と社会保障のあり方が決められるようなことがないように運動をしてまいります。

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