福島のぶゆきアーカイブ

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特定秘密保護法案への各党の対応

特定秘密保護法案は、昨日のみんなの党との協議によって成立に向けて一歩前進したと報道されているが、このみんなの党の修正案は全く意味のないものである。
 特定秘密保護法案の問題点はいくつかあるが、その代表的なものは外交に関する情報であれば行政が大きな裁量性を持って特定秘密の指定を行い、都合のいい期間秘匿しておくことができることである。

 みんなの党は、
①秘密の指定等に関する基準の策定を「政府」から「内閣総理大臣」に変更し閣議決定する、
②首相の指揮監督権を明記する、
との政府修正案をもって「政治主導が担保された」として了解をしたようである。「内閣総理大臣」というと一段上の偉い人のように思えるが、行政法上はそうとは限らない。内閣総理大臣には、内閣の議長としての行政機関の長としての役割と、内閣府という一役所の担当大臣の長としての二つの役割がある。後者は、分担管理事務といって、他の大臣とは横並びの存在である。
 修正案のうちの①は、内閣府設置法第4条第3項に定めるこの分担管理事務としての内閣総理大臣の仕事であり、公文書管理に関する規定が同項にある以上、「政府」と規定していたとしても結局は内閣府が分担管理することになるわけだから、条文を修正したとしても何も原案に変更を加えるものではない。
 ②は内閣の議長としての役割になるが、すでに内閣法第6条に「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」という規定があり、これをなぞっているだけである。つまり、みんなの党が了承した修正案は、何ら政府案に変更を加えるものになっていないのだ。これをもって、みんなの党が「現実的な修正を獲得した」とするなら、国民を欺く行為か、江田氏を遠ざけた結果霞ヶ関の悪知恵に気づかない政策立案に未熟なことを示す愚かな行為であろう。これでは、党是である「脱官僚」など覚束無い。

 一方、日本維新の会は、秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関の設置と期間の明確化を求めていて、日本維新の会にしては珍しくまともな議論を展開し修正案を提示している。党首が弁護士であるため法律論には強いのか、折衝の実務を担当している私の尊敬する桜内氏が頑張っているからであろうか。このままブレずに貫いて欲しいものだ。

 情けないのは民主党である。とりまとめた対案は一番立派なもので、作成の労には最大限の敬意を表したいが、本気で対案を国会で審議する気があるなら政府案と同時期に提出しなければならない。そのためには、そもそも「特定秘密保護法案が必要だ」という決断をまず党としてしなければならなかった。その判断を曖昧にしてきたため、成立間際に対案を出して、それが審議されないことをもって「反対」したフリをするのは、国民には何をやっているのか理解されないだろう。党内融和ばかりを考えた内向きの論理に無意識にとらわれていないのか、これまでの党の運営のあり方も含めてもう一度見つめ直す必要があるのではないか。

 歴史の転換点となりかねないこれだけ大事な法案の審議なのだから、政党の体面や内部事情に応じた対応をしていると、かつての歴史が示したように、国民は政党政治自体を否定することになってしまうだろう。

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