〇赤旗新聞のスクープで明らかになったこの件は、日本という国が根幹からおかしくなろうとしていることを示す看過できない問題だ。
アカデミズムに政治が裁量を持って介入することは、学問の自由という近代国家に普遍の価値観に反する。知に敬意も権威もない野蛮な国に、繁栄はない。まさに、日本の中華人民共和国化、ポルポト化だ。内閣総辞職にも値すると考える。
法律論で見ても、日本学術会議法第7条第2項で「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」としているが、この「基づいて」という条文には、内閣総理大臣の任命の裁量性はないと解すべきである。仮に内閣総理大臣の裁量があるという解釈なら、憲法第6条第1項の「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」という規定は、天皇の裁量で国会の指名に基づかない内閣総理大臣を任命できることになってしまう。
日本が、自由主義陣営で民主政治の価値観を持った国だと思っている人であれば、支持政党の違いを超えてこの問題の大きさに気付き、声を上げなければならない。