福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

デジタル庁創設の政府案

〇今日の読売新聞1面。政権内部からのリークによる目玉記事なのだろうが、これが事実ならあまりにもショボい。菅政権のデジタル庁は羊頭狗肉だ。

 記事によるとデジタル庁創設の政府案では、「政府の情報システム統合に向け、各府省に是正勧告する権限を与え、縦割りで管理している関連予算や運用を担当者ごと同庁に移管することが柱」ということだ。

 たんなる政府の情報システムの調達に関する一元化なら、すでに国土交通省に官庁営繕部という官庁建造物の調達を一元化してやっている部署があるから、そこでやらせればいい。この程度で新たな役所を作るのは、まさに「焼け太り」そのものである。

 問題は、医療や教育、交通など多様な分野におけるデジタル化の推進を縦割り行政を越えて統一的な戦略で強力に実行していく、それなりの権限を持った組織を作ることだったのではないか。この記事で見る限り、その片鱗も見られない。

 私は、日本学術会議のメンバーの任命拒否をめぐる菅総理の対応や今回の件をみていて、実務的と言われる菅官邸は、実は極めて小役人的で無能なのではないかと思い始めている。

 安倍政権を支えてきた今井尚哉総理補佐官は、毀誉褒貶はあるが良きにつけ悪しきにつけ若い頃から国全体を見ながら仕事をしてきた。政治的な感覚や世論への感応力もそれなりにある。小泉政権の時代に、私が内閣官房の構造改革特区推進室にいた時に、同じように内閣官房に都市再生本部があってそこの次長を務めていたのが、今菅官邸を中心となって支えている和泉洋人総理補佐官である。

 構造改革特区も都市再生も、同じような政策手段による地域の活性化だったが、その実現の仕方は対照的であった。技官として手堅い行政マンの和泉氏は、国土交通省のノウハウや人脈を駆使して実務的に仕事を進めていった。一方、霞が関の梁山泊のようだった構造改革特区推進室は、鴻池大臣が先頭に立って、私などが懐刀となり、小泉総理の威光をバックに、メディアや世論を味方につけ、自民党内の各部会や各省の大臣と喧嘩をしながら、極めて政治的に仕事を進めていった。

 あの時の和泉氏のままなら、菅官邸の仕事はよく言えば実務的、悪く言えば政治音痴、世論音痴のこじんまりとした官僚的なものになるだろう。菅総理には、あまり日本の歴史や文化に根差した国家観や、その国家観からでてくる政治家としての意思というものはないようであるから、小役人揃いの新・官邸官僚が作り上げていく政権がやることは、だいたい想像がつくものとなるのではないか。それは、日本の停滞の延長である。

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