〇見出し以上に、この記事で書かれているミッチェル元駐ミャンマー米大使のコメントは奥深い。ミャンマーのことを深く理解している。むしろ、見出しはミスリードだろう。
【日本は直ちに米国と同じことをする必要はないが、強力で懲罰的な措置を取る可能性があると示すべきだ。現状を続けた場合に国軍が受ける代償について、誠実に伝えることができる者が必要だ。日本以上に適役はいないと思う】
【中国は大きな影響力を持っているが、国軍は中国のことが好きではない。中国にさらに接近すれば、国軍の中心的利益である主権の維持やバランス外交を犠牲にすることになる】
それぞれの国の民主化には、それぞれの国の道筋がある。日本人は「軍政」という言葉に過剰に反応するが、ミャンマーでは軍政と民主政は完全な対立概念ではない。軍人は武人というより、むしろ官僚そのものだ。国情も不安定で、民主政が根付いていない国では、漸進的な民主化を進めるしかない。
今回のクーデターに立ち上がったミャンマー国民の勇気と意志は、最大限尊重されるべきだ。こうした国民の意志が、血塗られて制圧されることはあってはならない。一方、ミャンマー国軍も、完全なる軍政施行を目指しているわけではないだろう。ミャンマー国軍に漸進的な民主化のアドバイスができるのは、日本だけだ。欧米のようにスー・チー氏にとらわれることはない。
かつてミャンマー軍政政府の高官と食事をした時、私に「ミャンマーは政権交代の混乱のない日本の自民党政権を手本にしている」と語っていたのが、忘れられない。