福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

東芝の不公正な株主総会の報告書を読んで

〇経済産業省が関与した東芝の不公正な株主総会の報告書。ヨット部の先輩も調査者として加わっているので読んでみたが、スリリングで面白い。いや、そう言ってはいけない。これが日本の大企業とお役所の姿かと思うと、情けなくて涙が出そうになってくる。

報告書

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 粉飾決算をはじめとする数々の信じられない不祥事で低迷する東芝に、銀行上がりの車谷暢昭氏が社長として就任した。しかし子会社の不祥事やコンプライアンスの問題などが生じ、株価は低迷。60%の議決権を超える外国人株主などから経営陣を入れ替えることが提案されていた。

 そうした「物言う株主(アクティビスト)」を恐れた車谷社長らは、

【「株主提案の有無及び引き下げ交渉」については「経産省が使える」とし】(豊原副社長)

て、経済産業省にそれらのアクティビストに圧力をかけることを依頼する。

 経済産業省も、

【東芝のような大企業が不安定になることは避けたいというのが我々の望みである】
【東芝の一部上場が遅れるのも好ましくない】(情報産業課長)

などと言って、深く関与することとなる。国は東芝の株主ではなく、当然東芝は国有企業でもない。日本は、株主の権利が保障された資本主義の国であるはずだ。いつから経済産業省は、中華人民共和国の役所のようになったのか、唖然とする。

 そして、東芝と経済産業省は、外為法が改正されて安全保障を理由とした投資の規制が強化されることに事付けて、アクティビストたちに圧力をかけようとする。情報産業課長は、アクティビストに対して、

【静観してもらうように規制当局には話をしてきたが、もう抑えられない状況になっている。経産省のみならず政府全体の話として、外為法含め、規制当局が事実関係を調査し始めると聞いている。規制当局が動き始めると止めようがない】(情報経済課長)

などと、東芝の下請けとなって脅している。こうした経産省の動きには、経済産業大臣のみならず菅内閣官房長官(当時)や麻生財務大臣も関わっていることが、報告書では示されている。

調査報告書

 東芝は原子力や半導体関連などの戦略的な物資を製造してるため、当然中国への技術流出などへの規制は必要だ。しかし、無能な経営者を株主が代えようとすることを、安全保障を理由にして外為法などで取り締まることは、法治国家ではできないだろう。

 そもそも、報告書を読むと、規制当局の行動はどこにも出てこず、情報経済課は規制を担当する部署ではない。情報経済課が東芝やアクティビストに「指導」していることの大部分は、何ら法的権限のない越権行為だ。私は、東芝のようなポンコツな会社が、原子力のような戦略的な技術を担っていることこそが、日本の安全保障上の危機であると思う。

 報告書でも、

【東芝及び商務情報政策局ルートがいわば一体となって行った一連の行為は、エフィッシモを排除すべきアクティビストであると決めつけることから出発して、改正外為法上の当局の権限を発動させ、あるいは、かかる権限を背景とした働きかけによって、エフィッシモの株主提案に対処しようとしていたものと評価できる。・・・改正外為法の立法趣旨は、国の安全等に関わる技術情報の流出・事業活動の喪失を防止するために必要最小限度の範囲で株主の権利を制約することにあり、アクティビストの排除を目的としたものではない。しかし、上記の東芝及び商務情報政策局ルートがいわば一体となった一連の行為を見れば、これが安全保障上の要請からエフィッシモの株主提案を問題視してなされたものと認めることは困難であり、改正外為法の本来の趣旨からも逸脱するものと評価できる】

としているが、もっともである。

 問題の本質は、外国株主にちょっと揺さぶられたくらいでお上を頼る情けない大企業と、それに応えて法的権限もないのにしゃしゃり出てくるお役所にある。このコンビこそが、平成の30年間に日本経済を停滞させ、日本を経済二流国に転落させようとしている者の正体だ。そして、そうした者たちにお墨付きを与え加担してきたのが、自民党政権だ。

 私は、次の衆議院議員選挙では「無能な大企業経営者を一掃」という政策を掲げている。「言葉が過激すぎ」などのお叱りもいただくが、これくらいのことを言わなければ問題の本質はわかっていただけないだろう。政官業の関係が腐りきっているのだ。

 この問題だけで、本質的な政権との議論のアイデアが頭の中にモクモクと湧いてくるが、一浪人の身では如何ともし難い。手遅れにならないうちに、早く思う存分お国のために仕事ができるようになりたいのだが、自分だけが藻掻いてもどうしようもない。

 

www.asahi.comこれも、本質的には同じ問題です。

mainichi.jpこれもです。「自民党員にならなければ仕事がもらえない」「ビジネスのために自民党を支持する」、こんな社会主義国か独裁国のような国でビジネスをしている限り、世界での競争ができる企業は育ちません。

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東芝も、さすがに資本主義の世の中で生きていく以上、市場に反旗は翻せないと観念したのだろう。我が経済産業省は、完全にピエロになってしまった。

【経産省の梶山弘志経産相は11日に「東芝のガバナンスに関することであり、まずは東芝の今後の対応の検討を待ちたい」と話していた】

何もわかっていない大臣に、こんなことを発言させるしかなかったことが情けない。