福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

高速道路料金をどうすべきか

○共同通信によれば、

【国土交通省は28日、2065年までとしている高速道路の料金徴収期間を延長する案を・・・提示した。建設費の借金返済が終わった後も維持管理費用などを確保する必要があるとしている。新たに有料期間を設けるか、無期限で料金を徴収するかどうかは示さなかった。地方部に多い無料区間も、地域の意見を聞いて有料化を検討するとした】

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 最悪の政策だ。かつての民主党が高速道路無料化を掲げた時に「バラマキだ」と批判をされた。当の民主党の中にも、「できっこない」と言う人もいた。しかし、こうした批判は、政策の本質を分かっていない人が行うものだ。

 海外に行けば分かるが、多くの国のハイウェーは無料か、ごく低料金だ。日本の高速道路代は、目の玉が飛び出るほど高い。といっても、高速道路料金がかからなかったとしても、実は道路を走るのは「無料」ではない。ガソリンスタンドでガソリンを入れた時に払うお金の約半分は、税金だ。これこそが、道路の「通行料」なのだ。今日本の高速道路には、この自動車関係諸税の税収はまったく投入されていない。

 昭和30年代、特に昭和39年の東京オリンピックを目指して高速道路を作ろうとした時、高度経済成長が始まる前の日本でその財源は自動車関係諸税では賄えず、世界銀行からお金を借りなければならなかった。その担保のために作ったのが、昭和31年の道路整備特別措置法に基づき建設費を高速道路料金で賄い、その費用を償還すれば普通の国道と同じように開放する制度だ。

 東名高速や常磐道の水戸までなどは、もうとっくに建設費は償還されている。本来は無料開放すべきところを、田中角栄内閣で「プール制」という制度を導入し、償還済みの区間の料金収入を別の道路に使うことができるようにしてしまったことによって、半永久的に有料になってしまった。さらに、この制度によって、本来は一定期間で償還可能な事業性のある路線だけが作られる金融によるガバナンスが失われ、「熊しか通らない」などと揶揄される高速道路が各地に作られることとなってしまった。

 私は、今後の新規の道路整備は原則として自動車関係諸税(これも高すぎるのだが)の範囲で行い、新しい道路は山をくりぬき、高い橋を架けるような立派な高速道路ではなく、信号のない国道のバイパスを作ればよいと思っている。そして、既存のNEXCOの借金を国に付け替え、50年などの長期で完済する仕組みにすれば、直ちに無料にできると考えている。仕組みを変えるだけで、新たな財源は必要ない。NEXCOがなくなるだけだ。

 ポストコロナ禍の時代に、人口の集中した首都圏に住み、満員電車で通勤するような社会は変わっていかなければならない、と私は考える。東京から電車や車で1時間半かければ、緑豊かな大地が広がる私の地元などは、東京で仕事をしながら住むのには最適な環境なのだが、移動のコストと時間がネックとなっている。大学に行くために東京に行った子供は、もう地元には戻ってこず、年老いた親が孤立して暮らしている。

 だから、私は、今回の衆院選に当たって「常磐線・常総線の高速化や高速道路料金の500円定額化で移動や物流ノンコストを大幅低減」という政策を掲げている。500円定額としたのは、維持管理費を捻出するためと短区間利用による混雑を避けるためだ。私の試算では、500円の料金徴収だけで現在の維持管理費をはるかに上回る料金収入がある。

 これで誰が困るのか。それは、有料だからこそ存在するNEXCOとその関係者、自動車関係諸税を他のことに自由に使いたい財政当局、際限なく高速道路を欲しがる利権政治家だけだ。一方、国民や社会への経済効果は、絶大だ。役人にごまかされず、関係者の利害を調整する政治の意志と政治家の能力があればできるのだ。

 民主党政権では、残念ながらこれを実現することはできなかった。しかし、私はこれを実現することができるような政治に、政治自体を刷新したい。