福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

この故郷(くに)のための農業政策を

〇地域回りの途中で。一面の水田の稲は、出穂し頭を垂れ始めている。新米が待ち遠しい時だが、農家の関心は今秋の米価。コロナ禍での外食等の需要減で、20年産米の在庫も積みあがる中で、今年産米の米価は著しく下がることが予想されている。

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 秋の衆院選とも重なるため、政府与党は主食用米に作付けたコメを飼料用に転換するなどして需給を引き締めたりして米価上げに必死だ。しかし、一時しのぎの需給調整だけでは市場原理で決定される米価は動かせない。中長期的な需要減を見込んで、相対取引きしている業務用のコメは既に買手の力が強く、すでに値崩れが始まっている。

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 そうなると、これまで農協を見向きもしなかった生産者が、とりあえず農協に出そうということになるから、農協は膨大な在庫を抱えることになる。協同組合である農協は、組合員である生産者からの出荷を断れない。自称農政改革者は「農協の努力が足りない」などというが、これは経済学で言う典型的なクリームスキミングという現象で、歪な市場構造のしわ寄せが農協に来ているだけだ。先日訪れた某団体では、担当者がこれからどうやって今年産米を売るのか、頭を抱えていた。

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 自称農政改革者は、「もっと大規模化して企業的な農業をやれば米価が安くても大丈夫」と宣う。しかし、100ha近い大農経営をしている農家ほど、米価の下落は経営に大きく響く。他に仕事をしながら兼業している農家は、米価が下がっても暮らしていくことはできる。その兼業農家がかなりの比率を占める中で、米価は生産費以上に下落しやすい。

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 「普通作」と言われる水田農業は、かつての食管制度の時代のような政治力はもはやなく、科学的、論理的な分析に基づく政策が講じられず、似非農政改革論者の議論が蔓延っており、もはや瀕死の状況だ。日本は、主食の生産基盤が危機的な状況にあるのだ。

 それでも、JAグループは、科学的な政策や本当に支援が必要な生産者に政策が届かない自民党の農政を支持し、候補者に推薦を出す。間違えた政策や政策の不作為で被害を受けながら、それへの一時しのぎに感謝して支援をするのは、説教強盗にお金を出すことに等しい。

 政治家には人気のない地味な政策分野だが、国会に戻れたら「すべてをこの故郷(くに)のために」という思いで、本質的な政策転換を実現させたい。