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【経済産業省は、企業の経営や人材戦略を強化するための指針を策定する。社長候補者に社外での経営経験を求め、社内の主要ポストを公募制にするよう促すことを検討する。年功序列型といった日本企業の人事制度に抜本的な見直しを迫ることで、企業の競争力引き上げを図る・・・12月初旬に経産省が設置する有識者会議「未来人材会議」などで議論を進め、来春をめどに公表する。強制力はないが、指針を示すことで企業の制度改革を後押しする】
今日の読売新聞の経済欄に出ていた記事。私がかつていた経産省の政策かと目を疑うような、究極の愚策。誤報であると信じたい。企業の経営陣の人事刷新を役所が指針を示して後押しをするなど、いったいどこの国の政策なのか。役所の指針に従って役員人事をするような企業は、到底厳しい競争のある市場の中で生き残れることはないだろう。まさか、指針に真面目に取り組むような企業を淘汰するための仕組みじゃなかろうに。
私は、選挙戦での公約で「無能な大企業経営者は退場」というタイトルの政策を掲げた。大学を出てすぐに就職し、一つの会社で40年も勤め上げるような人材が経営者に向いているとは限らない。しかし、こうした無能な経営者を生まない仕組みは、行政の指針で作るものではなく、法人関連税制や企業統治ルール、証券市場の取引ルールなどの総合的な制度改革を通じて作るものだ。
「制度を作る」。これこそが、本来の立法府たる国会の役割である。政治が無能で、国会が本来の役割を果たさないため、行政の作る指針でゴマ化し続けてきたことこそが、平成の30年間の停滞の一つの大きな要因だ。こうした愚策が堂々とメディアで報道されることを通じて、私たちは物事の本質を掴まなければならない。