〇本日の本会議で、有志の会は予算案とそれに伴う税法改正案以外で初めて政府提出法案に反対をいたしました。しかも、反対をしたのは、我が会派だけです。我が会派は、「提案型野党」を標榜していないので。
その法案は、地球温暖化対策推進法改正法案。これに反対することは、地球温暖化対策に反対しているのではありません。改正の中身が、地球温暖化対策に資するものでないばかりか国民に害悪を及ぼす可能性が高いものだからです。
現在、エネルギー特別会計を用いて(一社)グリーンファイナンス推進機構が地域の再エネ事業等に出資しています。しかし、8年間でわずか37件の出資に留まり、現在目立った成果は挙げられていません。考えてみれば、当然のことです。私も浪人中に再生可能エネルギー関係の様々な事業にコンサルティングで関わってきましたが、この分野にはお金は投資ファンドや地方銀行などから唸るほど流れ込んできています。そこで投資の対象にならないような事業は、元々事業性がないか、あまりにもニッチなものしか残っていません。金融の素人の政府系のファンドの出番などないのです。
ところが今回の改正は、グリーンファイナンス推進機構の実績が上がらないので、法律に基づく(株)脱炭素化支援機構に改組し、財政投融資から年間200億円のお金を投じて、地域の再エネ事業だけでない幅広い脱炭素化事業に投資をする政府系ファンドを作るものです。小さな失敗をより大きな失敗にする、「恥の上塗り」とも言うべき法改正です。
これまでもクールジャパン機構や農林水産6次産業化ファンドなどが、政府系ファンドとして大失敗をしてきました。出資という直接金融は、厳しいリスク管理をしながらそのリスクに見合うリターンを得る決断をしなければ成り立ちません。この市場の厳しい目こそが、立派な企業を育てることになるのです。一方、財政投融資を原資とするファンドは、「政策目的」というあいまいな錦の御旗がつくことで、目は曇りがちです。生き馬の目を抜くマーケットの中で、成功するわけがないのです。
私は、与党時代農林水産6次産業化ファンド法案の審査の責任者をやっていました。その時から問題点は把握していましたが、与党の法案のとりまとめ役という立場から、反対はできませんでした。しかし、その結果としてのファンドの解散という大失敗。今回の法案で、その轍は踏みたくはありません。
果たして与党の皆さんは、この法案をきちんと責任をもって審査したのでしょうか?野党の皆さんは、「地球温暖化対策を進める観点から反対はできない」と世間向けの恰好ばかりつけていませんか?果たして法案の中身をきちんと勉強して、議論したのでしょうか?国民の皆さんに、ぜひ今の日本の国会の現状をご判断いただきたいと思います。
同じく本日採決された経済安保法案は、これまた出来の悪い法案ですが賛成をいたしました。内閣委員会での緒方議員の賛成討論に、私たちの会派の考えが込められております。動画を張っておきますので、ぜひご覧ください。
明日は、国土交通委員会で盛土等規制法案の参考人質疑に立ちます。こちらの方も、ぜひご覧ください。