〇この臨時国会から、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、有志の会、れいわ新選組、社会民主党の6党1会派が自公政権と対峙する構図ができたことは、有志の会の国対担当として大事にしていきたいと思っております。
記事にあるように野党4党は14日、幼稚園などの通園バスでの園児らの置き去りを防止する法案を共同で衆院に提出しました。
しかし、この法案には、私たち有志の会は提案者として加わりませんでした。静岡県で起きた幼児がバスに置き去りにされて命を失った事件は、胸が痛くなるような思いです。何らかの規制が必要なことは明らかでしょう。
しかし、この野党案は仮に政権をお預かりした時に出せるようなクオリティではないと考えます。この法案は、
①通園バスに、幼児等の置き去りを防止するための装置の設置を義務付けること
②装置の設置・維持管理に要する費用等を全額国が補助すること
を主な内容としています。
一見素晴らしい法案のように見えますが、こうした制度をつくるにあたってのイロハのイとして、アメとムチを一緒にするような制度は機能しません。①がムチで、②がアメです。設置義務を入れるなら、それに違反した場合の厳罰化が必要です。義務としないなら、設置等に国費を導入するアメを講じるのも一つの手でしょう。しかし、これを両方同時に入れれば、特に全額国費補助のような制度にすれば、事業者が国費で設備を買ってもその運用は手を抜くといったクリーム・スキミング(いいとこどり)が起こる可能性が高くなります。
「規制もします。お金も国が全額出します」と言うことで国民にいい恰好をしようとするだけなら、それはポピュリズム政治です。実は、置き去り防止装置設置義務化は、法律を改正しなくても省令改正でできます。おそらく政府が出す方策の方が野党案より、現実的には有効なものになることは確実です。
私たち有志の会は、パフォーマンスのために質の悪い法案を出すより、現実に機能する制度を実現する道を選ぶことが、政権を担いうる政治勢力の道を示すものであると考え、野党法案に加わらなかったのです。