〇下記のニュースにあるとおり、昨日野党7党が「政策活動費廃止法案」を共同提出したが、私たち有志の会とれいわ新選組はこれに加わらなかった。
もちろん、私たちは政策活動費の全面廃止をすべきであると考えている。そもそも、政策活動費の問題は、わが会派の緒方林太郎議員が、昨年の臨時国会の予算委員会で火をつけて議論が始まった問題である。一方、有志の会はあらゆる法案を条文ベースで議論し、賛否を決めることにしている。国会議員は立法府の人間なので本来当たり前のことであるが、条文ベースで詳細に内容を検討しているのは我が会派だけであろう。与野党が逆転する国会で、野党がまとまれば法案が成立する可能性がある以上、単に「野党が連携しました」というパフォーマンスや改革姿勢をしめすだけの野党しぐさではなく、真に法的効力のある法案を提出し可決させなければならない。
まず、写真の立憲民主党案では、「渡し切り」を禁止すれば政策活動費は全面禁止されるとしているが、法律的に本当にそうなのか?そもそも、「渡し切り=政策活動費」ではない。法案では、「渡し切り」とは何かの精緻な定義もない。渡し切りとは、一般的に「過不足を生じても精算を行わない」という単なる支出の方法にすぎず、たとえば「調査委託費」のような形で支出してしまえば、さらにその先の支出の中身は分からない。現に、私が民主党の候補者時代には、候補者の生活費として月に20万円のお金を民主党から「選挙区情勢調査費」としていただいていた(所得税の源泉徴収は行われていた)。
写真の自民党案では、野党と同様の「渡し切り」の禁止に加えて、非公開可能な「要配慮支出」という制度を設けている。このことこそ、自民党が「渡し切り」以外の政策活動費が存在することを認識していることを示唆している。先の通常国会の政治資金規正法改正時には、改正法附則第14条で「政党が当該政党に所属する衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者に対してする支出で金銭によるもの」を幅広く「政策活動費の支出」と定義しているのも、このためだ。
(この条文に関する通常国会での私の議論は、下記YouTubeをご覧いただきたい。)
だとすれば、立憲民主党案では「渡し切り」以外に存在する政策活動費を「調査委託費」や「〇〇研究費」、「会合運営費」などとして計上すれば、政策活動費として何ら規制がかかることはなく、むしろ自民党案より穴が大きくなる可能性があるのだ。立憲民主党がこれらも「渡し切り」だと言ったとしても、それを担保する定義規定はどこにもない。
私は、有志の会の担当として政策活動費問題の火付け役の緒方林太郎議員と共に、こうした論点(他にも問題のある条文がある)を立憲民主党に提示したが、条文ベースの踏み込んだ議論を行うことなく、何を急いでいるのかわからないが、野党7党で昨日法案は提出されてしまった。
繰り返すが、政策活動費問題の火をつけた私たち有志の会は、政策活動費を全面的に廃止すべきであると考えている。だからこそ、それを法津上実効的に担保する法案を野党は提出し、その野党案を成立させるべきだと考えている。今回の立憲民主党案は、自民党案よりむしろ穴が大きい可能性がある粗雑な法案であるため、私たちは提出者に加わらなかったのだ。
これから政治改革特別委員会で、こうした点を議論してまいる所存だ。国民の皆さんには、主要与野党の談合でいい加減な法案が通らないかどうか、しっかり見定めていただきたい。政治改革特別委員会は、与党と有志の会、れいわ新選組が共に反対する法案は可決されない。今後当然、自民案、立憲民主党案の修正も行われるのだろう。有志の会は、政局やパフォーマンスではなく、条文ベースの議論を真摯に積み重ねた上で、賛否を決してまいりたい。
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