福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

補正予算案に反対しました

〇12日の夜に開かれた本会議で、私たち有志の会は補正予算案に反対をいたしました。

 より詳細に説明します。本会議での採決は、「三案一括採決」とされています。三案とは、①政府提出の原案、②立憲民主党・有志の会共同提出の減額修正案(2枚目の画像)、③立憲民主党提出の令和6年度予算予備費1,000億を能登半島復興に当てるための予算総則(予算書の全文のようなもの)の修正案です。有志の会は、委員会では②に賛成し、①と③に反対。立憲民主党は、①に反対して②と③に賛成。つまり、同じ本会議での反対でも、中身は違うのです。

 私たちは、さまざまな統計データから見て、現在の景気は下降局面にはなく、むしろ過大な財政支出がインフレを誘発する可能性があると考えます。高校の政治経済レベルでも、インフレ局面での財政支出はさらに物価高騰を生むと習うはずです。物価を上げる影響のある補正予算案を組んで、その予算で物価高騰対策に財政支出をするなどということはナンセンスなのです。有志の会は、今回の補正予算案で物価がどのくらい上がると試算しているのか内閣府に資料を要求しましたが、とうとう回答は来ませんでした。おそらく「不都合な事実」なので、出せないのでしょう。

 よって、私たちは政府の原案に反対し、立憲民主党と共に無駄な基金への積み増しを減額する修正案を提出したのです。この調整には、緒方林太郎君が当たってくれました。本文下に、知性にあふれた秀逸な緒方君の反対討論を載せておりますので、ぜひご一読ください。一方、立憲民主党の予備費を能登半島復興に付ける修正案は、一見もっとものようですが、ほとんと意味のないものです。令和6年度予算の過大な予備費そのものが余っているのですから、そこから直接支出すればいいだけです。補正予算案が成立するまで執行できないという意味では、むしろ能登の復興にとっては邪魔な修正とも言えます。

 4枚目の画像は、自公国の合意書です。「103万円の壁」は、「178万円を目指して、来年から引き上げる」としていますが、元々は「178万円を目途に」だったそうです。「目指す」のは「青い鳥」のように永遠にできますから、私が話した財務省幹部は勝利宣言をしていました。「「ガソリンの暫定税率」は廃止する」も、「暫定」ですからいずれ廃止されるものを「暫定税率」と言います。これもトートロジーであり、期限が入っていなければ何も言っていないのも同然です。

 大変な交渉に当たった方々には心から敬意を表しますが、国民民主党はこの合意書をもって、補正予算案に賛成しました。もっとびっくりしたのは日本維新の会。何も証文はないのに、補正予算案に賛成。賛成討論に立った空本誠喜議員の演説は、ほとんど反対討論でした。自民党からも「エサを付けていないのに釣れた」と言われる始末。昨年の補正予算案審議では、当時国民民主党にいた前原日本維新の会共同代表は、補正予算案に賛成したことも理由にして国民民主党を離党したはずです。一体、どうなっているのでしょうか。

 衆議院で与野党が逆転する中で、それぞれの野党が手柄を競うようにバラバラに自民党と交渉して、愚にもつかない「成果」を得ています。その結果、無事補正予算案は、混乱もなく衆議院を通過しました。自民党は、さぞ高笑いでしょう。偏差値を競ってお勉強ばかりしてきて、取っ組み合いの喧嘩などしたことのない特殊な人たちの集団に見えます。こんな茶番(当人たちは大真面目なのでしょうが)を続けていると、結局「自民党しか政権を委ねられる党はない」と自民党の支持率は回復し、また消極的選択を国民がせざるを得ない状況になるでしょう。情けなく、申し訳ない国会です。既存政党の枠組みを、ぶっ壊さなければなりません。

 

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【予算委討論】緒方 林太郎 議員の反対討論

 補正予算に反対、立憲民主党提出の修正案に賛成の立場から討論いたします。

 1848年、「欧州に亡霊が徘徊している。共産主義という亡霊が。」と言ったのは、マルクスとエンゲルスでした。そして、1969年、この言葉をもじって「世界に亡霊が徘徊している。ポピュリズムという亡霊が。」と喝破したのは、英国の哲学者アーネスト・ゲルナーでした。それから55年、当に我々はポピュリズムという亡霊が日本でも徘徊しているのを目の当たりにしています。

 民主主義、特に選挙とポピュリズムの関係は親和性が高いです。2020年、英国がEUから離脱する際、当時のブレグジット党党首のナイジェル・ファラージ氏が欧州議会で「あなた方はポピュリズムが嫌いかもしれない。しかし、ポピュリズムはとてもポピュラーではないか。」と言っていたのを、私はとても強く印象に残しています。国民投票の際、離脱派は「英国のEUに対する拠出が無くなれば、そのお金を社会保障に使える。」と主張しました。しかし、投票翌日、この事について問われたファラージ氏は「そのようなことは約束できない。」と言を翻しました。ポピュリズムの怖さを痛感いたしました。

 財政ポピュリズムは、短期的には人気を博しますが、長期的には国を蝕みます。アルゼンチンは、第二次世界大戦が終わった時、世界有数の経済大国でしたが、その後、ペロニズムによる財政ポピュリズムにより、現在まで複数回のデフォルトを起こしています。映画「エビータ」を見られた方は、ペロン大統領とエビータ夫人が一時期どれだけ人気を博していたかを理解いただけると思います。

 今、我々は財政ポピュリズムに敢然と立ち向かわなくてはならない、と強く訴えたい。私は石破茂という政治家はその先頭に立つ人物だと思って来ました。しかし、今次予算には、若干ではありますがポピュリズムに傾く石破総理の姿が見え隠れします。補正予算の規模を先に表明するやり方には非常に残念なものを感じました。結果、基金を始めとする緊要性が疑わしい予算の計上が行われています。補正予算と来年度当初予算を同時に編成しつつ、そこに財政ポピュリズムを塗してしまえば、そこには緊張感のない予算の肥大化だけが残ります。今次補正予算には反対いたしますが、これは私からの叱咤激励だと受け取っていただきたいと思います。

 その観点から、立憲民主党が、修正案として、内容的に粗さはあるものの基金を減額する提案を行ったことを評価したいと思います。勇気の要ることだと思います。重徳政調会長を始めとする立憲民主党政策担当者のご尽力に敬意を表し、私の討論といたします。