〇これが、私が言う典型的な「野党しぐさ」。
【施行を7月1日とした理由について、法案提出者の奥野総一郎衆院議員は記者団に「維新も国民民主も『夏に』と話していた。他党が同意してくれやすい日程にした」と語った】
法律論的に言うと、単に「暫定税率を廃止する」という法案を出しても、施行日の7月1日から暫定税率はなくせるわけではない。税収が減る地方自治体への対応や、すでに成立している令和7年度予算への対応などは、別途政府が定める法律などに丸投げしているからだ。つまり、スローガンとしての「暫定税率廃止」を定めても、それに伴う実務的に必要な対応は政府が行わなければならないから、すぐに暫定税率など廃止はできないのだ。
実はこの経過措置の規定が、一番法律を作る時に難しかったりする。このような法律が成立してしまっては、行政は混乱するだけだ。それが分からないで法案を出しているなら、立憲民主党には権担当能力はない。それがわかっていて法案を出しているなら、国民を欺くパフォーマンスだ。
本来、野党がまとまれば衆議院で法案は可決できるのだから、本気で可決するつもりなら可決しても行政が困らないような法案を提出する。昨年の衆院選の結果、そのような政治状況になったにもかかわらず、このようなはじめから可決することを前提としていない法案を提出するから、私は「野党しぐさ」と言っているのだ。
【立憲の野田佳彦代表は18日の記者会見で「国民民主と維新は狙っているところは同じなので、法案を出して賛同・協力を求めていく」と述べた】
本気で暫定税率を廃止させようとするなら、このような「野党しぐさ」の法案に乗る野党はいるはずがない。衆議院の事務局長に提出する立憲民主党の議員の写真を冷めた目で見つめるだけだ。本気で暫定税率を廃止させようとするなら、暫定税率の廃止に伴って影響を受ける関係機関等との調整や、実務的な経過措置などを含めて役所や関係機関等との調整に汗をかくべきだろう。よほど与党と協議することの方が、生産的だということになってしまう。日本維新の会や国民民主党が「与党寄り」という問題以前のことだ。
これから張り切って提出するであろう、選択的夫婦別姓法案にも同じ問題がある。私たちの会派には今のところ何も相談はないが、選択的夫婦別姓に賛成か反対か以前に、条文ベースで見て可決して施行するに足る法案かどうかが、私たちが判断する一つの基準だ。
昨年の衆院選の結果与野党が逆転したという民意を裏切っているのは一体誰なのか、私たちはしっかりと見つめなければならない。それは、野党ベッタリの野党番記者が書く記事ではわからない。
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だから、やっぱりこうなる。
【玉木雄一郎代表は「賛成」の立場を強調しつつ、戸籍制度や子の姓を決める時期については「整理が必要」と主張し始めた】