〇有志・改革の会の同僚北神圭朗議員と共に超党派の日華議員懇談会の役員として台湾に渡り、1泊2日の弾丸ツアーで双十国慶節(ナショナルデー)の式典に参列してまいりました。

自民党の参加メンバーの多くが、古屋圭司団長を筆頭に自民党総裁選での高市選対の主要メンバー。9日の夜から公明党の政権離脱が濃厚となって、各方面からのさまざまな情報が東京から入る中で、当面の政治情勢についていろいろな意見交換もしましたが、日本の政局の話はまた別稿で。

昨年の国慶節は衆院選中で行けなかったので、頼清徳総統の総統としての演説を聞くのは初めて。「先月9月10日、私たちは歴史的な瞬間を迎えました。台湾で戒厳令が解除されてからの日数が、戒厳令下にあった息苦しい日々の数を正式に超えたのです(台湾政府訳、以下同じ)」と始まって、「私たちは、侵略に抵抗するために結束して流された血や涙や、民主主義、自由、そして主権在民の実現を求めて払われた数々の犠牲を決して忘れません。かつてこの土地に刻まれた物語は、どれも私たち共通の記憶だったからです」と語りかけました。
私が台湾と接することになったのは、東大に来ていた日台ハーフの友人が次々と台湾独立運動の闘士を紹介してくれてから。ちょうどその頃、李登輝総統が初めての直接選挙によって選ばれ、その後私自身李登輝先生の知己を得て毎年のようにお会いし、東京財団時代には先生のシンクタンクと毎年合同シンポジウムを開くなど、多くの台湾民主化関係者と接してきました。政治家になったばかりの頼総統とお会いしたのも、その頃。頼総統の話を聞きながら、政治犯として収容され拷問で潰された指を持つ学者の姿などが瞼に浮かんで、胸が熱くなりました。

「計り知れない苦難を乗り越えて築き上げられた「民主主義の台湾」こそ、台湾、澎湖、金門、馬祖に住む2300万人にとって、この世界におけるもっとも明確なポジションです。台湾はアジアにおける民主主義の灯台であり、いまだ権威主義体制の下、暗闇の中で生き続ける人々のために、永遠に希望の光を与え続けています!」と続き、国民の力で民主化を成し遂げたからこそ言える頼総統のこの言葉をまぶしく聞くばかりでした。
今や、台湾は半導体を始め世界の産業をリードする立場にまで発展しました。しかし、大事なのは経済的な発展だけでなく、それを生み出す自発的な台湾社会の力であることを頼総統は語ります。「台湾、あの小さくて山々がそびえる国の、なんと愛にあふれ、何と偉大なことか」。美麗島と言われる台湾に、私も政治家として友人としてずっと寄り添ってまいります。
弾丸ツアーの中には、韓国瑜立法院長(国会議長)との昼食会や、元立法院長の蘇嘉全氏が会長を務める台湾日本関係協会のレセプションのほか、経済界との意見交換や台湾におけるネット上の偽情報チェックの現状のヒアリングなど盛りだくさん。
台湾の経団連に相当する三三会との意見交換では、黄清苑副理事長から「日本がTSMCの工場を誘致したりラピダスの工場を新設するだけでは意味がない。半導体は川上。それを使うAIなどの川下の産業が育っていなければならない。トランプ政権誕生によってグローバル経済からエリア経済に変わっている。台湾と日本で川上から川下までの産業構造を作るべき」とズバリと指摘されました。我が意を得たり。このような経営者がいるから、台湾の産業は強くなったのでしょう。

NPO法人の台湾ファクトチェックセンターでは、邱家宜代表から台湾における偽情報の現状とそのチェック体制について伺いました。先の総統選挙でも、大陸からかなりの偽情報がネット上に流されたと言います。また、日台間の離反を進めるために日本についての偽情報も、たとえば福島第一原発の処理水放出などに際して流されていたことも紹介がありました。先日は、日経新聞や読売新聞で、JICAの協力事業の廃止を求める声がロシア発の情報から拡散されていることが記事になっていました。そういえば、私のSNSなどのコメント欄も、高市新総裁になってからなぜか安倍政権時代と同じような画一的なコメントが増えたような、、、

もはや台湾はかつての日本の植民地だった台湾ではありません。世界的な課題の解決に最先端で取り組むパートナーなのです。ライフワークとして、引き続き多層的な日台関係の強化に取り組んでまいります。