〇昨日の予算委員会での有志の会の同僚緒方林太郎議員の質疑が大きな評判を呼んでいる。議場で聞いていても、他の議員とは一味も二味も違う出色の質疑だったと思う。
NHK中継のある予算委員会でこのような議論ができるのは、それまでの膨大な蓄積があってのことだ。たまたま高市首相がその場で緒方議員の意見に賛意を示して法相に指示を出したわけではない。
緒方議員がこの日扱った売買春の問題にしても、「みんなで大家さん」をはじめとする不動産投資ファンドの問題にしても、これまで数年にわたって緒方議員が所属する内閣委員会や、時には私の所属する国土交通委員会に出てきて、質疑を積み重ねてきた問題だ。質疑に当たっては、衆議院の調査室や国会図書館などから膨大な資料を集め、所管省の役人と何度も議論を積み重ねてきたことだろう。
多くの場合、担当の役人レベルでは問題の所在や解決策を認識しているにもかかわらず、それまでのさまざまな経緯(前例や立法の経緯など)から国会での大臣や局長の答弁では建前の味気ないものになりがちだ。しかし、おそらく緒方議員は所管省の役人との水面下の議論から役所の本音を嗅ぎ取り、それを一気に予算委員会という首相との勝負の場でぶつけたのだ。もちろん官邸の秘書官らとも調整をした上のことだろう。こうした積み重ねの上での政治家同士のやりとりが、総理の予算委員会での政治決断に繋がったのだ。
このように、野党ましてやしがない無所属の議員であっても、しっかりと具体的な事実と理論を持って詰め、役所、総理官邸(政治サイド)と十分なコミュニケーションを取れば、それまで建前の世界で動かなかったことを動かすことができる。総理官邸も役所も、根っこのところでは「国のためになるのか、国民のためになるのか」ということで判断するのであり、何党がどうだというのは関係ない。
一方この国会では、総理の未明3時の勉強会をめぐって質問通告のあり方が大きな議論となった。NHK中継があるからといって、その時々のネタを握って提供する、回転寿司屋のような質疑を繰り返す政党もある。私もかつて官僚時代、夜遅くまで残って質問を取り、答弁を作成し、大臣にレクをするという生活をしていたが、それが国のため国民のために何かをやっているのであれば、寝る時間がなくなったって充実感は残った。一方、何のための質疑かもわからないような答弁のために付き合わされるのは、徒労感が残るだけだろう。
問題の根幹は、国のため国民のために、立場や主張の違いはあるにしても役所や答弁者とコミュニケーションを取っているのか、ということだと思う。そもそも政治家とは、そのような役割を果たす存在でもあるのだ。ぜひ国民の皆さんには、一人一人の政治家の国会での仕事ぶりを見て、誰のため何のために仕事をしているのかを見極めていただきたい。そして選挙の時には、「党より人物」でしっかりと審判を下していただきたい。それが、国民の皆さん自身のためだから。