〇フジテレビの客員解説委員らしいが、こんな生き恥をかくような記事が出回って大丈夫だろうか?
【いっそのこと「衆院3分の2」を使って強引に予算を年度内成立させればよかったのにと思う。ただ物理的には可能だがそんなことをしたら後半国会は参院がストップしてしまい、他に高市総理がこだわる国家情報庁の創設や皇室典範の改正が大変になるので、それはやめたほうがいいと自民党内からは大反対を食っただろう】
衆参両院の議決が異なる場合の処理を定めた憲法59条第2項では、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で可決したときは、法律となる」と規定しているが、これは法律案に限定されおり、予算案については3分の2の賛成での成立の規定はない。
予算案については、憲法60条第2項で「予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」とされている。これらの憲法の知識は、高校の公民で学ぶことで、よく大学入試の共通テストで出される問題だ。
偉そうに「野党議員の質問は“自説の開陳”」とか「野党が週末の審議を拒否」などと言っているが、まずは大学入試レベルの基礎知識を得てから評論すべきだろう。そういう平井氏の主張も、幼稚な「自説の開陳」以下にすぎない。私も、今国会での野党の質問で見るべきものは少なかったとは思うが。
「有権者が望むのは高市総理の指導力」とさらに自説の開陳を行っているが、「総理の指導力」というのはいったい何かわかっているのだろうか。日本は議院内閣制であり、憲法41条で「国会は、国権の最高機関」と定めている。参議院のホームページには、「国会が主権者である国民の意思を最も直接に代表するものであるから、国のすべての機関のうちで、最も重要であるという意味です」と解説されている。これも、中学校の社会で学ぶものである。
歴代の自民党の総理はそのことをよくわかっていたから、国会における審議プロセスを非常に大事にしてきた。それを疎かにすると、結果的に国民の意思に背くことになり、統治が困難になることを身を以って知っていたからだ。たとえば、小泉内閣だ。平井氏は「高市総理は小泉元総理に似ている」と自説の開陳を行っているが、小泉政権の中枢にいた私から見て、小泉首相は参議院をとても大切にしていた。
私がお仕えしていた鴻池祥肇先生は、参議院国対族のボスだったが、参議院のボスの青木幹雄参議院幹事長のパイプ役として入閣し、参議院からの上野公成官房副長官を通じて密接に官邸と参議院の連携を図っていた。「聖域なき構造改革」と言って多くの業界を敵に回すような政策を掲げながら、業界代表の多い参議院に配慮する体制を取っていたからこそ、私が手掛けた構造改革特区制度などを実現することができたのだ。小泉首相は決して蛮勇をふるったわけではなく、議会をうまく動かせる大島元議長の言う「政治的な技」があったのだ。解説委員なら、せめてこのくらいのことは知っておくべきだろう。
民主党政権の時、石破農水大臣の置き土産である「農林水産省監察本部」という内部監査機関を農林水産技術会議を廃止して設立する法案が提出されたが、私がこの法案審査の主査を仰せつかって、これに反対した。当時の山岡賢次国対委員長は、私の反対理由に分があると認め、政府提出の法案なのに与党としてこの法案の審議入りを認めず、廃案にした。当時の舟山康江農水政務官は、政府提出の法案を与党が潰すという結果となって私に「激オコ」だったが、今では仲良くしているのでそれでよかったのだろう。
この自民党出身の山岡国対委員長も、前回の投稿で紹介した大島元議長も、鴻池先生も、青木先生も、自民党の権力の基盤は総理という地位にあるのではなく、国民の(うつろいやすい)意思にあるということを身を以ってわかっていたので、「国民の意思を最も直接に代表する」国権の最高機関たる国会の権威を守ることを一番大事にした。国会議員から内閣総理大臣は選ばれるのだから、国会の権威が大事なのは当然のことなのだ。
【高市氏にはあの小泉氏と同じ匂いがする。藤田文武・日本維新の会共同代表は連立を組む時に高市氏に高杉晋作の言葉を引いて「総理、狂ってください」と進言した。高市総理はもう少し狂ってもいいのではないか】
私には、高市氏と小泉氏はまったく違うタイプの政治家だと思われる。こんなヘンテコな自説の開陳をする平井氏とそれを垂れ流すメディアが、一番とち狂っているだろう。平井氏は、中学校の公民あたりから勉強しなおして、もう少しまともになってもいいのではないか。