〇悔しいが、昨年の国籍不明、文化の香りがしない安っぽい東京オリンピックの開会式と比べて、素晴らしかった。バッハ会長の挨拶も、短かった。
映画『紅いコーリャン』などで有名な張芸謀（チャン・イーモウ）の演出はさすがだった。中国的な曲芸や大味な派手な演出を排して、中国の伝統的な雰囲気と全地球的な視点を合わせて、控えめに哲学を込めた品のある開会式だった。成長真っ盛りの派手なだけの成金的な夏の北京オリンピックの開会とは、全く別物だ。経済成長後の中国社会の成熟を示唆するものだった。
ただ、一方のセレモニーには、巧みに国威発揚が潜り込められていた。国旗掲揚では、ウイグル人から人民解放軍へと最後の五星紅旗のリレーがなされていた。女性は赤一色、男性は白一色のユニフォームでの入場行進は、多様性を認めない特異な政治体制を彷彿させた。
特異な政治体制の国が、とてつもない経済力を持ち、なおかつ文化の力を持つということは、日本にとってここ数百年味わったことのない脅威だ。日本はもっとしっかりしなければならない、そういう思いを込めて今日の国会質疑を行ったが、あと残りの私の人生でどこまでのことができるのか、ごまめの歯ぎしりをせざるを得ない。
