福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

二地点居住を促進するための広域的地域活性化法改正法案の審議

〇相も変らぬ写真ですが、今日の国土交通委員会で二地点居住を促進するための広域的地域活性化法改正法案の審議を行いました。質疑の模様は、YouTubeでご覧ください。


www.youtube.com

 まずは、桜川市犬田で民間がやっている二地点居住施設の「森と蔵」をご紹介。素晴らしい取り組みが民間主導で実現していますし、東京から100キロ圏内の茨城県は二地点居住の可能性はとても大きなものがあります。

moritokura.jp

 しかし、この法案の最大の問題点は、目指すところは素晴らしくても法案の内容がショボい「羊頭狗肉」なことにあります。こうした二地点居住は市町村が民間の活力も生かして知恵と工夫を凝らして計画しなければなりませんが、都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作った時しか市町村は計画を作れません。

 インフラ整備のための社会資本整備総合交付金の広域連携事業は、複数の都道府県が連携して作った計画の場合に都道府県を通じて市町村に間接交付されるだけです。規制の特例措置も、国土交通省所管の法律のみで、農地法などこの事業に必須の他省の法律は対象となっていません。お上が、国から都道府県そして市町村と上から下ろしていって成功した政策はほとんどありません。

 つまり、既存の広域的地域活性化法という木に竹を接いだだけの手抜き法案となってしまっているのです。法律の附則に規定された5年を目途とする見直しの検討の中で、新法を含め抜本的な見直しを訴え、その趣旨は附帯決議の中にも盛り込むことができました。

 本会議では、有志の会は子ども・子育て支援法改正法案と食料・農業・農村基本法改正法案に反対。前者は、子ども・子育て支援金を健康保険料に上乗せして行うことは、社会保険の原則に反する偽装増税のために反対。昨年の臨時国会での自賠責保険における賦課金など、岸田内閣は「増税メガネ」との揶揄を嫌ってか、税金以外の国民負担を挙げて増税と見え内容にする姑息な手段に頼りすぎています。

 食料・農業・農村基本法改正法案の反対理由は、農水委員会で同僚の北神議員が渾身の反対演説を行っております。水戸のこと触れてもらっていますので、ぜひ下記をお読みください。我が会派は、国会で骨太な議論を行ってまいります。

 

***********

 

「有志の会」の北神圭朗です。

今回の「食料・農業・農村基本法」の改正案の原型は、昭和36年の「農業基本法」にあります。そこには「農業はそもそも不利な条件に置かれている。しかし、国民の命をつなぐために不可欠なのが農業であるから、国家はこの不利な条件を改善するんだ」という熱い思いがありました。

天候不順をはじめ、限られた土地という自然的制約。狭い土地の上に、零細多数の権利者や生活者が濃密に絡む社会的制約。精一杯農地を集積しても、生産性には自ずと限界があるという経済的制約。

農産物価格が国際的に割高になるのが、日本農業の宿命です。

これは果たして農業者の努力不足か。この一点を誤ると、本来農業は儲かる産業であるかのように錯覚してしまいます。日本農業の不利な条件を正面から認めて、これを改善するための的確な手段を講ずるのが、国家の役割ではないでしょうか。

最初の基本法には、生産性の向上と共に農業総生産の増大が目標として据えられました。平成11年の改正には、この目標は影に隠れ、食料自給率が新しい目標となりました。

他方、今回の改正案の目玉である「食料安全保障」とは、緊急事態でも国民に必要最小限の食料を届けることです。そのためには平時からの農業の活力が前提です。これは広く国民にとって理解のできる方針です。

ところが、本改正案は、これまで農業総生産の目標だった食料自給率が「その他の目標」の一例示として後退しました。この指標が政策目標として欠陥があるのであれば、有事の際に守るべき必要最小限度の食料を踏まえた食料自給率も提案しましたが、徒労に終わりました。その結果、「食料安全保障を確保するために、国内農業総生産をどこまで増やすのか」という国の責務も後退したと言わざるを得ません。具体的目標があいまいなことは、国が国内農業生産を増強するための担保が消えることになるからであります。

昭和36年、当時の池田勇人総理が基本法のための全国運動の最初の訪問地として茨城県水戸市を選びました。その理由は、「水戸徳川家が毎食時に「お百姓さんありがとう、いただきます」と言っていたことに対して、総理が国家の尊厳を見出した」旨「自民党農政史」に記されています。

その熱い思いが、どこから風が吹いたのか、いつしか雲と散り、霧と消えたのではないか、と大変な危機感と憤りを覚えることを申し述べて、私の反対討論とします。