福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

政治改革特別委員会にて、有志の会を代表して意見表明

〇第1回目の政治改革特別委員会が開催され、有志の会を代表して意見表明を行いました。発言内容については、下記に記します。

 この国会で政治資金規正法改正法案を成立させるには、そろそろ具体的な法案を審議しなければ成立させられません。にもかかわらず、自民党は未だその内容を示さず、GW明けの委員会の日程も決められません。そもそも、自民党がやろうとしている改正案はショボい弥縫策にすぎず、私は「平成の政治改革」が未完に終わって、いつまでも日本の政治が利権金権政治のチマチマとした利益配分政治に終始し、国の行く末を決めるような大きな決断ができず、日本の停滞を招いたと考えます。意見表明では、こうした時代認識と理念を発言いたしましたが、他党からはそのような観点からの発言は少なかったように思います。発言後、野田元首相から「いい演説だった」と握手を求められました。

 午前中には厚生労働委員会で、育児休暇・介護休暇法等改正法案の審議と採決が行われ、短時間ですが介護休暇制度について議論を行いました。武見大臣からは、気の抜けたような答弁ばかり。さらに、立憲民主党提出の訪問介護事業者へ補助金を支給する法案について、やろうとしていることは結構だけど、予算措置なので法律を出したって実現するわけではないので、本気でやりたいなら政権交代を実現して、その際にやることを準備すべしと辛口で訴えました。議論の模様は、YouTubeからご覧ください。


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政治改革特別委員会での意見表明

 有志の会の福島のぶゆきです。各党のご理解をいただき本委員会の議席と発言の機会をいただいたことに感謝申し上げます。有志の会を代表して、政治資金規正法改正に関する考え方を申し述べます。

 今般の自民党の派閥パーティー裏金問題に端を発した本委員会での政治改革の議論は、単に収支報告書の記載漏れや政治家を罰することができないという形式的な問題に留まらない、戦後日本政治の構造的な問題にアプローチするものでなければならないと考えます。そもそも現行の政治資金制度や政党助成制度、小選挙区比例代表並立制の選挙制度などは、戦後の一大疑獄事件であるリクルート事件で平成元年に竹下内閣が退陣して以降の「平成の政治改革」によって作られたものです。平成4年、「平成の政治改革」で大きな役割を果たした民間政治臨調の発足総会では、政治改革に対する基本方針として、「政権交代の欠如による政治の停滞、不毛な利益誘導政治による疲弊から、政党と政治家を解放し、健全な政党間競争と政策選択によって政治のダイナミズムを蘇生する」としています。

 平成の時代は、世界的に見れば、冷戦の崩壊によってイデオロギー対立の時代からグローバリズムの時代へと大きくパラダイムが変わった時代でした。そうした時代にこそ、利益誘導による資源配分の政治から脱却し、政権交代で民意を受けた政策選択がなされ、制度やシステムを大きく変えることができる政治のダイナミズムが期待されました。このことこそが、平成の政治改革の目的だったのです。

 しかし、平成9年の民間政治臨調では、すでに「平成の政治改革」の限界が指摘されています。「小選挙区制のもとで、与野党の競争条件の不平等化、野党の戦略的能力の欠如などの条件が重なると、多数派が固定化し有効な対抗政党が登場する可能性が極小化するという病理形態が出現し得る。野党は対抗勢力に成長することを諦め、本来の主張を放棄して与党に接近することによって協調体制を生み出す場合もあるし、原理主義的少数派としての孤立に甘んじる場合もある」。これは、今日のことではありません。もうすでに四半世紀前に指摘されていたことなのです。そして、平成8年の最初の小選挙区比例代表並立制の選挙では比例区の存在とも相俟って、「最近の利益誘導政治への批判、全党あげての行政改革の提唱にも関わらず、いやそれゆえに、政権党は相当な利益誘導による票の動員を行った可能性がある」としています。

 結局、平成の政治改革は未完成のまま。相も変らぬ利益誘導型の資源配分の政治が続いたことによって、この30年間我が国は世界の大きな変化に対応できず、平成元年には一人当たりの名目GDPがG7トップの世界4位とまぎれもない世界の経済大国だったのが、今やG7で最下位の世界30位前後へとアジアの二流国に転落する寸前にまで凋落してしまいました。すなわち、未完の「平成の政治改革」こそが、我が国の停滞の最大の要因であることを、私たち国会議員自体が強く自覚しなければならないのです。

 自民党の派閥パーティー裏金問題は、によって、あたかも古木にはびこる菌糸から出てくるキノコのように、相も変らぬ古い政治があることを国民に再認識させました。今こそ、平成の政治改革で不完全なまま放置されてきた、政権交代を起こしうる政治を実現するための選挙制度改革や立法機能を強化するための国会改革と一体となって、利益誘導型政治から脱却するための政治資金制度改革が必要なのではないでしょうか。こうしたことから、令和の政治改革の一丁目一番地は、企業団体献金の廃止であると考えます。

 岸田首相はこれまでも国会で「憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄付の自由を有するとの最高裁判決があるにもかかわらず、企業団体献金が金の力で政治をゆがめ、国民の参政権を侵害するというのは論理の飛躍がある」と答弁しておりますが、これこそ論理の破綻であります。ポピュラーな芦部信喜先生の『憲法』に基づくと、政治活動の自由とは憲法第21条の表現の自由から導かれる概念であり、「干渉を受けることなく自己の意見を持つ自由」と「情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由」の二つで成り立つとしています。その上で、「表現の自由といえども無制約ではない」として、公職選挙法における戸別訪問の禁止を合憲とする最高裁判決などを挙げています。カネの力で政策が作られることがないよう、企業団体献金を禁止したり規制することに憲法上の制約はないのです。

 むしろ、表現の自由の一形態としての政治活動の自由として大事なのは、国民にとって「情報を求め、受ける自由」すなわち「知る権利」です。平成の政治改革によって、政党助成制度が出来てから、政党の運営に係る経費には国民からお預かりしている税金が含まれていることになります。そうであるならば、いわゆる「政策活動費」の何らかの形での使途公開を政党側が拒否する理由はないと考えます。同じく国民からお預かりしている税金を原資とする調査研究広報滞在費も、使途を全面的に公開し残金返済を義務付けることは当然のことです。さらに、故安倍元首相の政治団体を安倍昭恵氏が継承し自民党の政党支部の資金がそこに移された事例にみられるような親族間での政治資金の移動についても規制をすべきです。

 一方、そうなると個人による政治献金によって政治活動を支えていただく政治文化を作っていかなければなりません。個人献金を促すためには、税額控除等の税制優遇を抜本的に拡大すべきです。また、政治資金パーティーについても、個人が政治活動を支えるという重要な役割を果たすものであることから、企業団体による購入や外国人による購入を禁止した上で、むしろ税制優遇によって個人による政治献金を促すものとすべきです。一昨年6月に広島で開かれた「岸田総理就任を祝う会」のような、他団体が開催したという名目で自らの政治団体に資金を繰り入れる脱法的な政治資金パーティーは、当然規制が必要です。

 これらの政治資金の出入りの流れをチェックする第三者による監督が必要であるという意見が多く出されています。現行の登録政治資金監査人による外部監査の対象となっていない政党本部や収入を監査の対象に入れることは当然であるものの、「政治資金の収支の状況を明らかにする」という現行制度以上に政治資金の収支の妥当性などを監督する第三者機関の設置は、政治活動の自由と折り合いを付けながら、どのような権限をどのような範囲で持たせるかなど緻密で慎重な検討が必要であると考えます。

 今回の政治改革の発端となった問題を起こした自民党は、議員本人に政治資金収支報告書が適正に作成されたことの「確認書」の提出を義務付けることで、議員本人に刑罰がかかる可能性のある仕組みの導入を提案しようとしています。政治資金収支報告書のオンライン提出と合わせて、これらはこれまで述べた論点に比べて本質的な論点とは言えません。この国会での政治資金規正法改正の議論が連座制の導入のあり方に終始して、本質的な政治改革の議論から目をそらすことがないように注意しなければならないと考えます。

 私たち有志の会は、政党要件を満たしていた時も「武士は食わねど高楊枝」とあえて政党とはせず、政党助成金をいただかずに政治活動を行ってまいりました。政党支部もない私たちは、企業団体献金をいただくこともできません。確かに資金的には厳しいものがありますが、それでも多くの支援者にお支えをいただき政治活動を継続することができています。

 平成の政治改革の真っただ中、野党であった時の自民党総裁だった河野洋平元衆議院議長は、令和の時代になって衆議院事務局が行ったオーラルヒストリーの中で「企業献金の廃止は、個人献金に振り替えろという話はなかなか難しいだろうから、企業献金を止めて公費助成にしようということでした。だから、公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしいんですよ」と語っています。やはり政党助成制度がある以上は、平成の政治改革の本来の原点に立ち返って企業団体献金を廃止することは論理的にも倫理的にも当然のことであると考えます。そして、河野元議長は「この頃は、企業献金が多いから税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方へ政策のウエートがかかって、企業献金が政策の歪みを引き起こしているから、それを止めろということだったのに、それが今またああいうふうになっているというのは、本当におかしいと思いますね」とも語っています。

 平成の政治改革関連法案が成立した後の民間政治臨調の「政治の現状を憂うるすべての国民と政治家へ」という文章では、次のように言っております。「政治改革は「政治とカネ」をめぐる国民の根強い批判から出発したが、同時に、既成政治の限界に対する多くの政治家の深刻な危機感に根ざすものであった。それ制度の改革をめざすものであったが、運動を絶えず支えてきたものは、まぎれもなく、時代の閉塞を打ち破ろうとする政治家同士の絆であり、党派を超えた連帯意識だった。そして、この政治家同士の精神の絆こそが、政治改革が残した最大の遺産であり、古い政治の殻を打ち破り、新しい政党政治をつくりあげていくためにも必要な条件であった」。本特別委員会での議論が、そうした時代の閉塞を打ち破ろうとする党派を超えた精神の絆によって、本質的な議論が行われることを求めまして、有志の会を代表しての意見表明といたします。


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