福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

深夜の強行決着

 昨日の深夜(と言うより今日の未明)消費税増税に関する法案の法案審査が怒号と混乱のうちに強行してなされました。10人以上の議員が発言を求める中で、前原政調会長が一任取り付けを提案し、司会の岸本議員が強引に会議を閉じてしまいました。その後、マイクの電源は切られ、執行部の退室をめぐって閉会を認めない議員が揉み合い、怒号が飛び交う乱闘まがいの状況となりました。「一体この党の意思決定はどうなっているのか」と本当に情けない思いで、涙が出そうになりました。

 私の消費税に対する姿勢は3月15日付のブログ・メルマガに書いたとおり「前政権が作った基礎年金の国庫負担をはじめとする社会保障制度の財源の穴を埋めるために、若干の増税はやむを得ないものの、経済状況を見て慎重にタイミングを考えなければならない」というものです。財務省は何が何でも増税を実施することを狙ってきますからそうさせないように、増税時の低所得者等への配慮、景気の慎重な見極めなどの法的担保を法律に盛り込むことを目標として今回の法案事前審査に臨みました。

 会議は非公開で行われましたので、メディアは小沢グループ増税反対で騒いでいるというような政局的な報道を行いましたが、実態はまったく違います。一部には議論の遅延を狙って発言をする人もいないわけではありませんでしたが、8日間毎回深夜12時近くまで、時には日付をまたいで続けられた論議は、多くは経済政策論、社会保障論などのしっかりとした理論に裏打ちされた濃密なものでした。私のような役人出身の立法が得意な議員、金融機関出身のマーケット感覚のある議員、エコノミスト出身の経済理論に通じた議員、医療現場出身の社会保障制度に通じた議員など、それぞれの分野で一流であった議員たちが繰り広げる議論は、「さすが」と思わせるおそらく我が国では最高レベルの質の議論で、ぜひ皆さんにも聞いてもらいたかったくらいです。

 私は、単に消費税増税だけをやりたいスケベ心がミエミエの政府の案文に対して、そもそもの法律の題名を「消費税法等の一部を改正する法律案」から「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」に変えさせました。それにともなって、法律の目的も単に消費税を上げるだけではなく、社会保障制度の充実と一体となって行うものであることを明確にさせました。さらに、原案では附則といういわば法律の「おまけ」のところにたったの数行あっさりと書いてあった消費税増税の負担軽減のための措置を、本則にすべて具体的に列挙させることにしました。その中には、国税庁社会保険事務所を統合する歳入庁の設置や低所得者向けの負担軽減措置、内税・外税の税額表示方法の見直しなど、さまさまな項目が挙げられております。つまり、昨日までは前原政調会長の巧みな手綱さばきの下で、政治家同士の議論を繰り広げることによって、まさに政治主導で政府の法律案が構造からよりよいものへと修正されていたのです。

 ところが最終日の昨日は、一番大きなテーマである不況の時に消費税増税をストップする条項をどう入れるか、という議論で紛糾したのでした。これは、増税したい人から見れば、なるべく経済状況で消費増税の時期が左右されないような骨抜きの条文を求めますし、経済状況を優先する人からは景気低迷時には消費増税が止まることを明確に担保する条文を求めます。私は、後者の立場から、「経済状況の好転」というものが人によって認識が異なるという混乱を避けるため、数値的な目標を設定することを求め、最終日に前原政調会長が提示した案文には、そのように修正されていました。しかしこれだけでは不十分なので、景気悪化時には消費税増税をストップするということを明確にするため、「停止を含め必要な措置を講じる」という案文を「停止を行う」という条文に修正する提案を用意していたところでした。これなら、多くの慎重派の議員も納得したはずです。あと2時間議論していたら、大勢はまとまる予定だったのに、これまでの上質な議論の積み重ねをひっくり返して、強引に会議を閉じたことは残念でなりません。

 一部には党内の反主流派を疎んじる勢力もあるとも言われております。自民党と大連立したいと思っている主流派もいるのかもしれません。そうした思惑で、あえて波乱の閉じ方をしたとは思いたくありませんが、いずれにせよこのような取りまとめは今後の政局に大きな波風を立てることになったことは確かです。私は、政治家である以上一つ一つの政策を信念を持って実現するために尽力するとともに、政界再編含みの大政局に逃げることなく信念を持って立ち向かってまいる所存です。

 それにしても、先々週から毎日深夜1時、2時までの大激論。朝は毎日8時から会議。政治家というのは本当に体力勝負です。

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