福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

消費増税法案の採決

 本日の本会議において、消費税増税法案に与党議員として反対の票を投じさせていただきました。正確に申し上げると、今回採決にかかった8法案のうち、年金関係や子育て支援関係の5法案と自民党が提案した社会保障国民会議の設置を規定した社会保障改革推進法案には賛成し、消費税関係の2法案に反対をいたしました。ただし、私の今回の行動は、特定のグループと結びついた政局的な思惑は一切なく、09年選挙時に皆さんにお約束したことを政治家として守るために起こした行動であり、自ら離党したり民主党の分裂に加担することは断じてないことを申し添えます。昨日は同じ思いで行動した村井宗明議員、石山敬貴議員、熊田篤嗣議員、福田衣里子議員、宮崎岳志議員、山岡達丸議員とともに記者会見を行い、声明を発表させていただきました。

 採決を翌日に控えた昨日は地元の農村地帯を自転車に乗って1軒1軒回らせていただきました。「消費税が10%になったら、うちの会社は倒産だよ。生活保護にでもなったら余計に財政は悪くなっちゃうけどいいの」とか、「90歳を超える母親を入院させていたけど、延命治療にお金がかかるので自宅に引き取った。介護で自分が先に死にそうだ。今の国会はこのような現場の声をわかっているのか」といった切実な声をいただきました。何より「選挙前に言ってこととやってることが違うじゃないか」「嘘つき!」という厳しい声を多数いただきました。

 私は、昨年末、そして3月の党内議論では毎日深夜まで議論に参加し、単なる消費税増税だけを内容とする法案だった当初の政府案を、法律の題名から法目的、中身を大幅に修正させるなど、今回の政府法案を「社会保障と税の一体改革」と銘打って説明できるギリギリの内容にまで修正させました。そうした経緯から、今回の採決では当然に賛成するつもりでした。ところが三党協議を経て再修正された案は、
1.後期高齢者医療制度の廃止や最低保障年金の創設などの私たちのマニフェストの最大のアピールポイントが棚上げされ、
2.消費税増税時にいわゆる逆進性に対応するために実施することとされていた高額所得者への負担増などの部分が削除され、
3.財務省も痛みを負う「歳入庁」の設置が骨抜きにされ、
4.消費税増税で財政に余裕が出る分を公共事業に充てることが明記され
るなど、私たちが党内議論で修正した点はことごとく変更されてしまいました。しかもこうした修正はすべて財務省霞ヶ関に都合の悪いことを修正するものであり、財務官僚が陰で自民党に根回しし、民主党自民党も修正協議を行っている政治家は旧大蔵省・財務省出身者という「財務省増税村」の中で行われているのを見て、私たちの訴えてきた「政治主導の政権運営」とは一体どうなってしまったのか、という思いになってしまいました。霞ヶ関を脱藩して政治を志した身として、今回の三党協議だけは許しがたく、止むにやまれぬ思いで反対した次第です。

 しかも、党内の手続きが正当なものであれば造反する理由はありません。しかし、三党協議を受けた政調合同会議では政調会長が「一字一句たりとも修正は認めない」「了承するかどうかの判断はいかなる議論にかかわらず私が一人でする」ということを冒頭宣言されました。これでは民主主義は成り立ちません。およそ民主主義国の近代政党であれば、多数決なり、自民党のような全会一致の総務会なり、それぞれ民主的なプロセスを経て意思決定を行います。そうした決定に違反すれば処罰は仕方ないでしょう。ところが今回の民主党は、多数決や全会一致で意思決定するのではなく、たった一人の独断で物事を決めることを宣言してしまっており、これでは政権与党としてきわめて危険なことであると言わざるを得ません。執行部の「処分」も正当性があるのか問わざるを得ません。多くの同僚議員は党の規約に基づいて両院議員総会で議決を取ることを求めてきましたが、これも無視されてしまいました。このような体制を「民主制」ではなく、かつてのソ連共産党と同じように「民主集中制」と言います。私は、民主党が政権を担う近代政党としての意思決定プロセスを遅ればせながらも構築してもらいたい、そうした警告の意味もこめて今回の行動をとらせていただいたのです。

 今回の私の行動には批判の声もあることは承知いたします。しかし、前日地元を回る中で、私は選挙のときに言ったことが「嘘でした」とは言いたくない、という思いを強く持ちました。政権与党が近代的な意思決定プロセスに欠く危険な政党であって欲しくない、とも思います。また、霞ヶ関を飛び出して日本の政治を変えるために泥にまみれてきた身として、財務官僚の言うがままに与党も野党も動くような政治は見たくない。党人である前に、まともな政治家でありたい、という自らのアイデンティティに照らしてこのような行動をとったことをぜひご理解賜れればと思います。ご意見お待ちしております。

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