福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

「予算案、年度内成立確定へ」

○これだけいろいろなことが飛び出している中で、もう(おそらく事前の国対間での握りどおり)衆議院で予算案の採決が行われるなんて、情けない。国権の最高機関が行政に屈服していることを意味する。

 4年前、私が森友学園問題を予算委員会で追及してきた時、やはり衆議院の予算案採決が予定通り行われて予算の年度内自動成立が確定することになった。すると、参院自民党国対族のボスの故鴻池大臣から「なんで民進党は予算案の採決に応じるんや。お前らは参議院は要らんと言うんか」と怒りの電話が来た。鴻池大臣は、それまでに私たちに森友問題での重要な情報を教えてもくれていた。

 憲法の規定に基づく衆議院の議決の優先によって予算案の年度内成立が確定すると、参議院での審議は「気の抜けたビール」のような緊張感のないものになってしまう。自民党参議院としても、緊張感のある環境で審議を行うことで、参議院の行政チェックの役割を果たし、議院内閣制を実質的なものにする意義がある。粛軍演説で有名な斎藤隆夫を尊敬する鴻池大臣の口癖は、「国会は総理大臣の下請けやないで」「参議院は衆議院とはちゃうで」というものであった。

 衆議院の採決が遅れて、たとえ暫定予算の編成が必要になったとしても、現実の予算の執行にはほとんど影響はない。4月1日から執行可能な準備が整う政策予算など、コロナ対策のものも含めて皆無だろう。公務員の人件費など定型的な経費のみを暫定予算で組めばよいだけなのだ。なので、かつては予算の年度内自動成立が可能な日程で予算案が採決されれば、与党は赤飯を焚いて祝い、野党は国対委員長がクビになったと、鴻池大臣から教えられた。「わしが野党に国対のやり方を教えたるか」とも言われた。

 野党国対は「山田内閣広報官のクビをとった」と誇るのかもしれないが、昨日の菅総理の答弁では山田氏は体調不良で辞めただけで、山田氏にまつわる接待問題の本質については何ら国会で明らかになっていない。山田氏の懲戒処分は減給10分の6、他の総務省の幹部官僚たちは減給10分の2が3ヶ月だから、1ヶ月以内に政権のカードとして辞任するのは容易に予想がついた。むしろ、「山田氏が辞めれば真相究明できなくなる」と抗議することの方が筋だろう。

 これでは、野党のスキャンダル追及作戦は、政府の権力構造の問題点や贈収賄に関わる法的問題を明らかにすることではなく、単なる「役人イジメ」に過ぎないということを自ら明かしていることになってしまう。本当は国会の場で格好いい政策論議をしたいのに、ネットなどでの誹謗中傷に耐えながら、命に従って歯を食いしばってスキャンダル追及の最前線に立っている若手議員は報われまい。

 最近、地域を回っていると、「早く菅総理を辞めさせてくれ」という声は多い。その一方で「国会での野党を見ていると、やっぱり野党には投票しようと思っても投票できないんだよね」という声も同じくらい多い。特に、通常国会が始まってから、そうした声は日に日に大きくなっている。

 私は、これまで一緒に戦ってきた野党の若手議員は無能だとは決して思わない。むしろ、自民党より優秀な人の割合は多いと確信をしている。しかし、このような国会への対応の仕方では、残念ながらそれは生かされず、国民には若手野党議員の良さは伝わらない。

 日本の民主政治を守るために、議院内閣制を機能させるためにも、野党の議員の皆さんには頑張ってもらいたいと思う。私も、国会に戻って、今の日本の政治を何とかしなければ、と思う。

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