福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

映画「桜田門外の変」試写会と政調APEC/EPA/FTA対応PT

 国会の隣にある憲政記念館で映画議連による映画「桜田門外の変」の試写会が開催されました。映画「桜田門外の変」は、私の地元の先輩方や仲間たちの多くが頑張って作っていった映画ですので、早速この映画を見てまいりました。市民発の映画というと、単なる「ご当地宣伝映画」と思われがちですが、この映画は「男たちのYAMATO」の佐藤純弥監がメガホンを取った本格的な大作です。贔屓目なしに見ても、今年の邦画のベスト映画のひとつに挙げられるのではないでしょうか。

 詳しい内容は「16日からの一般公開でのお楽しみに」ということにしますが、見ている私にはあまりにも今の日本の政治状況とオーバーラップしてしまい、水戸出身の政治家としては見ているのがだんだんと辛くなってしまいました。桜田門外の変に参加した志士たちは、決して単なるテロリストではありません。黒船が泰平の眠りを覚ます激変の時代を背負い、その時代を切り拓くために、自らの幸せや欲得をすべてなげうって行動した結果が、あのような事件になっていった、その心情を映画は丁寧に描写していきます。当時の水戸藩というと「尊皇攘夷」というレッテルを貼られてしまうのですが、その「攘夷」というのは単なる鎖国主義、外国人排斥ではありませんでした。黒船の圧力に耐え切れずに迫られて開国した幕府に対して、富国強兵を成し遂げた上で段階的に開国していくというのが当時の水戸藩の主張だったのです。

 ちょうどその日、民主党政調APEC/EPA/FTA対応プロジェクトチーム(PT)が開かれました。私は農林水産部門会議を代表して主査としてこのPTに加わることになったのですが、菅総理が先日の所信表明演説で域内の関税を原則的にゼロとする「環太平洋連携協定(TPP)」への参加を検討することを表明したことを受けてのものですので、急進的農産物自由化論議に傾きがちです。私は自由貿易自体を否定するものではありませんし、これからの日本は変わらずに貿易立国でなければならないと考えますが、一口に「自由貿易」といってもさまざまな形態のものがあります。アメリカもEUも中国も自分たちにとって都合のいい貿易ルールを「自由貿易」と言っているのであり、はじめから「関税ゼロ」になって武装解除したまま厳しい国際競争に乗り出そうとしている主要国はほとんどありません。まさに今日本の農業政策の転換が始まったところであり、その政策による農業の競争力強化を図りながら、自国にできる限り有利なルールの下で段階的に自由化していくべきというのが、私の主張です。これは、今の菅総理の姿勢が(TPPを推進する米国に強く言われてやっているのかはわかりませんが)幕府の開国論に相当するのに対して、まさに幕末の水戸藩の「尊皇攘夷論」に当たるのではないでしょうか。

 今年は日本でAPECが開催され、菅総理が議長ですので、そこで恰好をつけたいという思いはわからないではありません。来年はAPECは米国で開催されますから、それにむけた地ならしを米国から頼まれているのかもしれません。でも安易な「政治決断」がこの国の将来に取り返しのつかない悪影響をあたるのだとすれば、政治家として行動をしなければならないときがあるのかもしれません。映画を見ながら、登場人物たちの一つ一つの言葉を聞きながら、そんな水戸っぽとしての血が体の中から沸きそうになるのを抑えておりました。今は与党の一員として、政府が「賢い」選択をするように辛い交渉ではありますが、粘り強い議論を積み重ねていくときであると考えております。

 桜田門外の変の当日は季節はずれの大雪でした。襲撃の指揮官だった関鉄之介が逃亡の途中に出会った漁師は「今年は潮干狩りの時期に大雪が来るなんて季節が狂っている。世の中も狂っているときだからだ」というようなことを呟きます。今年の夏は暑すぎると思っていたら、いきなり秋雨の肌寒い季節になりました。150年前とおなじような世の中の転換点に来ているとしたら。。。このような時代に政治家という役割を与えられていることが、大きな重みとなって迫ってきます。