〇地域周りをしていて、香川敬三こと蓮田了介のち鯉沼伊織の生家、養子先に行き当たった。
香川敬三は、一般の水戸藩士として稀有な明治政府で爵位(子爵から伯爵)を受けた人物。代々農業を営む生家や、神主を務める養子先は爵位を受けた人物の実家とは思えないほど質素である。
地元の郷校時雍館に学び、尊王攘夷運動に挺身し、後に上洛して岩倉具視と知り合う。運命の流れか、水戸藩士ながら幕藩体制に弓を引くことになった功績で、明治維新後爵位を授かる。
私は、ここに挙げたような写真に写る姿を見ながら、公家の香川姓を名乗って得た爵位は当人にとっても居心地が良いものではなかったのではないか、と勝手に想像している。慶喜公の公爵授与に奔走したり、水戸藩士の名誉回復を図ったりしたのは、その贖罪意識からだったのではないか。
蓮田家、鯉沼家のある集落は、鯉沼家が代々神主を務めていた神社を中心に、空き家やお年寄りの独居の方が多くなっていて、多くの田畑は放棄されて荒れ果て、近代日本の結末を示しているようだった。
私は、この故郷から、新しい時代を切り拓きたい。