福島のぶゆきアーカイブ

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衆議院農林水産委員会での決議

 本日の農林水産委員会で「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」という決議が採択された。元々、本決議は、10月26日の農林水産委員会で私が「拙速なTPP交渉参加に反対する決議をすべき」という発言をしたことを受けて、理事会で協議していただき実現したものである。しかし内容を見てみて、およそ納得しかねるものであったため、委員会では賛同に加わらない旨意思を表明したところ、国会対策委員会幹部から農林水産委員を差し替えるようにとの命を受け、今日1日農林水産委員会から外されてしまった。

 この決議には、たとえば「交渉参加に向けた関係国との協議を進める中においても、国内農林水産業構造改革の努力を加速するとともに、協議の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること」という項目がある。これは日豪EPAの際の決議を踏まえたものであるため、一見もっとものように見えるが、現在交渉中の日豪EPAと異なり、我が国はまだTPPへの交渉参加を決定したわけではない。この文章は、交渉参加を前提としたものであり、かつ全ての品目の関税をゼロにすることを否定するものでもないため、これまでの私たちの主張とは相容れないものである。

 さらに日豪EPAに関する決議には「米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となるよう、政府一体となって全力を挙げて交渉すること」という重要な項目が含まれていたが、今回はこれをあえて欠落させている。米国等は、これをみて「除外」や「再協議」は今回日本の議会も求めまい、と当然捉えることであろう。さらに、日豪EPAに関する決議では、これを受けて「我が国の重要品目の柔軟性について十分な配慮が得られないときは、政府は交渉の継続について中断も含め厳しい判断をもって臨むこと」となっているが、今回の決議では「国益を損なうことが明らかになった場合には、政府は交渉参加の見送りも含め厳しい判断をもって臨むこと」と表現が変わっている。これも一見するともっともなのであるが、今回の決議の文章では何が「国益」なのか明確ではない。日豪EPAの方がより具体性があり歯止めになっていることは明らかであろう。

 なぜこのようなことになってしまったのか。それは、国会決議にさえ、外務省や経産省の政府が関与してしまっているからである。少なくとも前政権までは「国会の決議には政府は関与しない」という、当然であるが故の暗黙のルールがあった。しかし、現政権では、立法府と行政府の役割についての認識が混乱している。一読すると前向きなようで仔細に検討すると実は後ろ向き、という作文は役人がもっとも得意とする修辞法である。今回、農林水産委員会の決議は見事にその罠にはまってしまっている。とりあえず団体の顔を立てておくために決議をしておこう、というやったふりではあまりにも不誠実である。「一体国会議員の役割というものは何なのか」と自問する毎日である。