福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

立憲民主党

〇確かに本多氏の発言は、道徳的には問題が多いが、立憲民主党がこの発言をもって処分したり、公認を取り消すのはおかしいのではないか。

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 まず、本多氏が発言した場は、性犯罪規定を見直す刑法改正に関する非公開の党内議論の場である。たまたまこれが外部に漏れて、それが一般の興味をそそる発言であったため、ネット上などで広く知られることとなった。しかし、このことをもって「党の名誉、信頼を傷つけ」たとして処分の対象となるなら、立憲民主党の政治家は、非公開の場であっても自由闊達な発言ができなくなってしまうだろう。

 次に、この発言は、自らの性的指向を表明したものではなく、性犯罪とする要件変更の妥当性を問うための譬え話としたものである。刑法に犯罪として規定するのであれば、当然に憲法上規定されている自由権との兼ね合いについて厳密な議論が必要である。かつての「チャタレー事件」で表現の自由と「猥褻」の関係が問われた最高裁の判例のように、こうしたことはこれまで緻密な議論が積み重ねられてきた。

 「性暴力被害者の皆さまを大変傷つけた」という事実と、未成年との性行為を年齢で区切って刑法上の刑罰として位置付けることの間には一定の距離があり、これらを結び付けるには極めて慎重な議論が必要なはずである。立憲民主党は、刑法に基づき個人の自由を奪う刑罰を設けることを、情緒的な議論で決めてしまうような政党なのだろうか。

 今回の立憲民主党のこの対応は、まったく立憲主義的ではなく、法的根拠もなく酒類販売業者に飲食店との取引を止める要請した菅政権と同根であると言わざるを得ない。リベラルな政治理念とは対極である。

 先日の菅(かん)元首相の発言と同様、仲間を叩いて、自らの地位を守ろうとする行為だとするなら、違和感を持たざるを得ない。「政治理念がどうの、政策がどうの」という以前に、仲間の失敗を叩いたり、批判される仲間を見捨てたりする行動は、普通の人間からみればまったく共感を得られないことであろう。枝野代表が標榜する「保守」の価値観とは、相容れない。

 どんな立派な政治理念や政策を語ろうが、一般常識や一般的な感覚に照らして違和感を持たれるような行動をする政党は、なかなか国民の広い支持を得られない。理屈や利害得失の計算をするのではなく、一般的な常識に基づく判断ができなければ、国民政党になれないのではないか。総選挙が近づく中、野党第一党として目を覚ましてほしい。