〇今回の参院選は、言われているほど自公政権が圧勝したわけではない。比例票を見ると、自民党も公明党も前回参院選や衆院選から得票率を減らしている。それ以上に、立憲民主党や共産党が得票率を減らしているだけだ。国民は、決して自公政権を熱烈に支持しているわけではない。
私は、今回の参院選は、平成から続いてきた一連の二大政党制に向けた「政治改革」の流れに一区切りをつける選挙になってしまうのではないかと直感的に感じ、どこかの党から頼まれたわけでもなく、ほとんどが自腹で、時には自ら長距離をハンドルを握って、各地の野党候補の応援に行った。秋田、山形、宮城、新潟、埼玉、神奈川、長野、静岡、福井、山口、大分へと、立憲民主党、国民民主党、無所属問わず訪問した。正直言って、体も財布も、だいぶ擦り減った。
そこで感じたのは、立憲民主党や国民民主党の公認を受けた候補は、選挙期間を通じて支持拡大は頭打ちとなり、思わぬ苦戦をする候補が多く、無所属で出馬した候補は知名度が一定程度ある候補であれば、さまざまな階層の人たちが集まって選挙戦が進むにつれて支持が伸びていくことであった。
公認候補の陣営の多くは、政治関係者ばかりが事務所に集まり、集会も高齢の特定の傾向を持った人ばかりが集まっている。つまり、内向きの選挙活動となっていた。無所属候補の陣営は、候補者と人間的な関係を持つ、街で見かけるような老若男女のさまざまな人が事務所にも集会にも集まって来ていた。党や団体に頼らない姿勢が、一般の人々を引き付けていたのだ。
上記リンクの記事にもあるように、無党派層の支持を一番多く集めたのは自民党である。私が政治活動をしてからこの20年間。民主党政権の前も後も、無党派層は旧民主党系候補に一番多く投票してきたから、これまでの国政選挙では事前の政党支持率が低くても選挙結果はそれなりのものになってきた。しかし、もはや政党を支持する少数の固定層以外は、既存野党には国民は寄り付かなくなっているのだ。
私は、その最大の理由が、既存野党の政治リーダーたちが思う以上に世界や社会は大きく変化しているにもかかわらず、既存野党はこの20年間ほとんど変化をしているように見られないことにあると考える。「物価高と戦う」と叫び、時限的に消費税の減税を訴えるようないつかどこかで見たことのあるような姿勢にこそ、国民に見限られているということに既存野党が気付いていないことに、その限界はあるのではないか。護憲か改憲かなどが争点となる国政選挙も、今回が最後になるであろう。
こうしたことからみると、平成の時代に入って冷戦が終わり、バブルがはじける中で、日本新党に始まり、新進党、民主党、民進党、希望の党、○○民主党と繋がる一連の政治改革の流れは、前回の衆院選での小沢一郎氏の小選挙区での落選と今回の参院選での岩手県の敗北を象徴として、終焉に近づいたと思わざるを得ない。また、今から既存野党が結集してみたところで、何も生まれない。
一方、ロシアのウクライナへの侵略、円安・物価高の進行、アジアの二流国への転落の危機など冷戦終結以来最大の世界の変革期にこそ、既存与党に代わる新しい政治の出番でもある。自公政権は、近未来に来る大きな変化に絶対に対応できない。そこで求められるのは、新しい時代の枠組みを透徹した目で見据え、その時代にこの国が掲げるべき理念を言葉で表し、取るべき方策を骨太な政策体系で示す政治勢力が、既存の政党の枠組みを超えて現れることである。
私は有志の会の同志たち共に、そうした新しい政治の枠組みを作るために行動したいと思う。また、今国会に席を置く同僚議員の皆さんにも、今回の参院選で表れた民意や時代の流れを見据えた行動を呼びかけてまいりたい。