〇今朝は、朝霧の中今年度になって初めての水戸駅南口での街頭演説。新しい制服をまとった新入生の皆さんに、ロシアの例を引きながら、なぜ民主政治を守らなければならないのか、「主権者」というのは一体何なのか、ということを話しました。わずかでも心に刺さるものがあれば嬉しく思います。
週末の読書のお供は、吉田忠京大名誉教授著の『牛肉と日本人』。吉田先生は、私の選挙区の旧岩瀬町出身で、私の縁戚です。私の祖父は農林省で畜産技官、吉田先生と私は農業経済学専攻。何とも言えない繋がりを感じます。
この本には、面白いエピソードが出てきます。匿名の元水戸藩士が明治26年に書いた『水戸藩党争始末』に、次のように書かれているというのです。
【老公牛肉を好み給いければ、年々寒中に彦根より献ずる事なりしに、直弼家督後はこれを献ぜず。その故は、直弼はもと僧になりたる事あり、仏法を信じける故、国中の牛を殺すことを禁ぜいしなり。然るに公はこれを知らせ給わず・・・公よりたびたび御頼みありし事を、さらに承知せざりしかば、さすがに不快に思召されしとなむ】
「老公」や「公」とは、徳川斉昭公のこと。牛肉が大好物で、当時日本中で唯一牛を屠殺して食することを認めていた近江の彦根藩から牛肉が贈られてくるのを楽しみにしていたのが、得度した井伊直弼の代になってそれが禁じられて、斉昭公に贈られなくなったことへの不満が、桜田門外の変の遠因の一つになっているという話なのです。
吉田先生は、茨城県出身として、水戸っぽの性格をよく認識しながら史実に即して軽妙に論じています。歴史の繋がりというものは、興味深いものです。