〇昨晩は、経団連会館で開かれた第43回「エネルギーフォーラム賞」贈呈式に。今年の受賞者の市村健さんは、東京電力から故加納時男参議院議員の秘書に出向されていた時から四半世紀のお付き合いです。今年は、時代を反映してエネルギー安全保障関係の書籍が受賞していました。実は私も『エネルギー政策は国家なり』で第40回の受賞者なのですが、コロナ禍でこのような贈呈式は開かれませんでした。
会場には日本を代表する錚々たるエネルギー関係者が来ていました。通産省の先輩の田中伸男元IAE(国際エネルギー機関)事務局長、保坂伸資源エネルギー庁長官とパチリ。三人とも「伸」が付く名前です。小早川智明東京電力社長とも。毎月『エネルギーフォーラム』誌に連載している私のコラムを読んでいただいている方も、多くいらっしゃいました。『エネルギーフォーラム』誌は、今時珍しくなった政府や政治に遠慮しない、自由闊達な言論空間なのです。
田中さんからは、ロシアの対応次第では欧州以上に日本のエネルギー事情が緊迫化する可能性があることをご教示いただきました。また、帰りに二人でエレベーターに乗った時に聞いた保坂長官の言葉には、ハッとするものがありました。保坂さんは次長、長官としてこの6年間で5年もエネルギー政策の重職にあります。その間、異常気象による需給のひっ迫やコロナ禍、ロシアのウクライナへの侵略などエネルギーを巡る状況は歴史的な緊迫の連続でした。ふと漏らした一言から、日本のエネルギー供給を守るためにどれだけ命を懸けてきたかを知りました。
現時点で、日本はエネルギーを輸入に頼らざるを得ない状況にあります。自国ではどうしようもない気候の変動や国際情勢によって、我が国のエネルギー供給の状況は決定的に変わってしまう、綱渡りの状況にあります。エネルギー価格の高騰や原子力の問題など百家争鳴の状況にありますが、見えないところで日本の経済の根幹であるエネルギーを安定供給するために尽力している人たちの存在を、私たちは忘れてはなりません。