福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

中曽根元総理との懇談

 同郷の小泉俊明代議士のご手配によって中曽根元総理のお話をお伺いする貴重な機会を賜りました。私が高校生のときは、まさに中曽根内閣絶頂期でした。「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根内閣は、それまでの自民党の経済優先の政治ではなく、理念型の政治を戦後初めて標榜し、多感な年頃の私たちは大いに触発されました。全共闘運動も終息し、「しらけの世代」「ノンポリ世代」と言われた昭和末期にもかかわらず、当時の水戸一高には、日本の戦後とはいったい何なのか? 戦前の日本は悪なのか? 民主主義とは何なのか? 日本社会と天皇とは? そんなことを大いに議論しあう仲間がいました。仲間とともに勉強会を作り、当時一人暮らしをしていた私の下宿で夜更けまで天下国家を論じあったことが、私が政治家を目指した原点にあります。そうした意味では、あれから20年。中曽根元総理の話は、自分の政治家としての原点を確認する、歴史的な一時となりました。

 中曽根先生は、初当選の私たちに対して「政治家である前に、果たして自分が国民に訴える値打ちのある人間かどうかを問いなさい」と説かれました。先生からいただいた青雲塾綱領には、修学目標として「生きたままの最高の芸術品に、その人生を完成して世を去ることを修学の目標とする」とあります。政治は、政策とか、演説とか、政局の前に、人間同士の濃密なやりとりによって紡がれるものだと、最近つくづく実感いたします。中曽根元総理には、政治家としてはいろいろな評価をする人がいるでしょう。でも、齢90を過ぎ、歴史的な評価を受け入れる覚悟をした人間の、言葉では言い表せないオーラが中曽根先生には漂っていました。私も政治を行う人間として、如何に人間としてさまざまなものを身につけ、どのような顔をして死ぬのか、恥じぬことのないよ、一日一日、一瞬一瞬を大切にしていきたいと、改めて心に誓わせていただきました。