マニフェスト作りもいよいよ佳境です。私は、今第一にやるべきことは衆議院選挙でお約束したマニフェストの実行であって、政権与党となった今や選挙前にお示ししたマニフェストが実行できないのであれば、どんなにすばらしいマニフェストを作っても信用されない、と考えています。したがって、あんまりマニフェスト作りに血道をあげることはしたくないのですが、成長・地域戦略研究会の事務局のお手伝いを命ぜられ、地域主権・規制改革研究会にも所属しておりますので、いくつかの提案をさせていただきました。
その中で今ちょっとした議論になっているのは、中小企業・地域経済担当大臣の設置です。私は、経済戦略といっても、バイオやIT、原発輸出のような国際競争に打ち勝つための政策と、商店街の活性化や地域資源を生かした産業などの地域循環型の経済構造を作るための政策は、理念も政策の手法もまったく違うものと考えています。とくに中小企業・地域経済関係は、中小企業政策一般は経済産業省の中小企業庁、農村振興政策は農林水産省、環境政策は国土交通省などと省庁毎に分かれており、似たような振興法や補助金が乱立しております。地域で経済活動をする人にとっては、振興政策が何省のものであろうと関係ないのですが、省庁の縦割りが非常に政策の使い勝手を悪くしているのが現実です。また、いくら政府が成長戦略と叫んでみても、崩壊しかかった商店街や農村にとっては、別世界のことのようでなんら現実感がありません。そこで、いろいろな役所に分かれている中小企業・地域経済関係の部署を統合し、関連する政策を整理して骨太な政策体系を作り上げ、担当大臣を置いて日本の地域の隅々を回らせたら、崩壊寸前の地域経済が蘇る一歩となるのではないか、そういう発想で提案させていただきました。
「これは地域を勇気付ける政策だ」ということで成長・地域戦略会議の素案には最初から盛り込まれていたのですが、当然権限を奪われる役所側は反発します。役所側の意を受けているのか、いないのか、政府側の政務官や何人かの議員から消極的な意見が出されております。こんなことではマニフェストの実行どころか、マニフェスト作成の段階で、骨抜きになってしまいます。あとは幹部の皆さんによる政治的な判断となってきますが、役所側の抵抗に屈することなく、原案どおりに決定してもらいたいものです。このこと一つをとってみても、私たちは「何のための政権交代だったのか」ということをもう一度考え直し、行動していかなければならないと改めて実感いたしました。