福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

今度は牛肉

 極めて高濃度なセシウムに汚染された稲わらの給与によってとうとう牛にまで原子力被害が拡大してしまった。稲わらが汚染されていることは事故直後からわかっていたことであり、このようなことは防げたはずである。農林水産省は3月の段階で県に対して「畜産農家の皆さまへ」という1枚の紙を広報するよう要請しただけで、ほかの農産物のように原子力災害対策本部長(総理大臣)による出荷制限などの法的拘束力のある対応をとってこなかった。そういう意味では二次災害であり、この件については政府にも過失責任がある。政府を支える与党としても、責任感をもって対応していかなければならない。

 先日私が事務局長をやっている原子力災害緊急対応ワーキングチームにも福島県の生産者の皆さんにいらしていただき、お話をお伺いした。あまりにも悲痛な訴えに、政治家として必ずしも十分な対応がこれまでできてこなかったことに改めて申し訳なく思った。政治家がやるべきことは、行政が行う以上のスピード感をもって、それまでの前例を超えた対応を行わせることである。本日、下記のような提言を農林水産部門会議でとりまとめさせていただき、政府に申し入れをさせえていただくこととなった。これまで何度も申し入れをさせていただき、政府から前向きな返事をいただくが、なかなか実効性のある対応をスピード感を持ってしていただけていない。政権末期の様相であるが、誰が総理大臣であっても、被災者第一の思いで対応していただきたい。

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牛肉等の安全性確保と畜産農家等の被害救済に関する緊急提言

平成23年7月22日
農林水産部門会議

 今般の牛肉・稲わらから暫定規制値等を超えるセシウムが検出された問題は、福島県のみならず我が国全域の畜産業や食肉産業に長期にわたって大きな被害を与える可能性のある問題であり、かつスピード感を持った対応が必要であることから、これまでに政府が公表している対策に加えて、以下について早急に実行することを強く要請する。

1.出荷制限(福島県以外でも高濃度のセシウムが検出された稲わらの流通に伴い自主的に出荷制限したものを含む。以下同じ。)となった牛及び福島第一原発20キロ圏内の安楽死させた牛について、国が全量買取りをすること。
(豚肉の調整保管に準拠した制度の創設も検討)

2.出荷制限以外の牛肉で市場価格の下落や流通量の減少に伴い販売額の低下等の被害を受けた生産者、流通業者、小売・外食産業等への被害の補償を迅速に行うため、原子力損害賠償紛争審査会の指針で緊急に対象とするとともに、国会で審議中のいわゆる「立替払い法案」成立後に速やかに国による立替払いを実行すること。

3.国は、比較的安価でまとまった量の購入が可能なシンチレーション検出器の配備や人員の確保等により、全都道府県において「全頭検査」を行う体制をすみやかに整備すること。その第一段階として、計画的避難区域、緊急時避難準備区域等のみならず福島県内全域において全頭検査を行うために必要な機材、要員等を国が責任を持ってただちに確保すること。


4.安全基準の科学的根拠や全頭検査の実施状況等について消費者に的確に情報を提供する体制を構築すること。

5.国は、家畜排泄物から生産される堆肥についても放射性物質の検査や流通段階への的確な情報提供等を行い、耕蓄連携の流れを阻害したり今般の稲わらの場合と同様の被害が生じないよう万全の対策を講じること。また、肉牛と同様に稲わらが給与されている可能性がある乳用牛、ヒツジ、ヤギ等に関する食品の安全性についても早急に調査すること。

6.全国の被害を受けた生産者、流通業者等の経営支援のための長期・無担保・無利子の金融支援策を講じること。その際に既存債務への利子補給や被災企業債権の買取りなどにより二重ローン問題への十分な配慮をすること。

7.以上の対策を被災者の立場に立って迅速に的確な政治的リーダーシップの下で講じるために、これまでの震災対応の反省も踏まえつつ政府に副大臣級から構成される省庁横断的な対策本部を設置すること。

以上