福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

火事場泥棒法案その2

〇この国会で、明日から経済産業委員会で審議されるもう一つの「火事場泥棒法案」、エネルギー供給強靭化法案。

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 昨年の台風の時の千葉県での大規模停電などの対策として、さらには再生可能エネルギーの導入促進に伴う新たな送配電網投資を促進するものとして、電気事業法や再生可能エネルギー特別措置法を改正することは、「もっとも」と思う人も多いだろう。

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 しかし、この法案には国家公務員の定年延長にかこつけて検察庁法改正案を「束ね法」で行うのと同様に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(JOGMEC法)が束ねられていることを知っている人は、少ない。

 かつて資源に乏しい日本のエネルギー問題を解決するために石油公団というものがあったが、国鉄が「我田引鉄」と言われて政治の要請で赤字路線を抱えて破綻したのと同様に、さまざまな利権に関わる非経済的な権益を抱え込んで行き詰まり、この独立行政法人に生まれ変わった。官業では、生き馬のを抜く国際的な資源マーケットでは太刀打ちできなかったのだ。

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 新たな独法は、資源開発を行う民間企業にリスクマネーを投入する民業の補完に徹する役割を担っていたが、ここ数年外交の道具としてこの独法を「打ち出の小槌」にしたい政治と、省益の復活を目指す守旧派官僚の手によって、かつての石油公団に後戻りする道を歩もうとしている。

 私の2期目の平成28年にも、北方領土交渉をめぐって民間では出せないロシアへの資金をこの独法から出すための法改正案が提出されたので、私は10月28日の経済産業委員会で1時間にわたって当時の世耕大臣と議論を戦わせた。

 経済産業省は、石油公団の復活に向けて、姑息にも何度にも法改正を分けて独法への業務の追加を行おうとしている。今回の法改正も、やは北方領土交渉絡みで無理やり政府が行わせた民間企業のロシア投資への穴埋めのため、と業界では囁かれている。

 本来は、化石資源の乏しい日本の資源調達のあり方という大命題からの議論が国会で行われるべきであるが、このような手前味噌の法改正はお天道様の下では行えるものではないので、エネルギー供給強靭化法案といういかにももっともな名前の法律に、こっそり束ねられて国会を通そうとしている。

 なぜ電気事業法や再エネ特措法と束ねて審議するのかという理由が、JOGMEC法改正案に「有事に民間企業による電力用燃料の調達が困難な場合、独法が調達」という条文があるから。有事に民間でできない燃料調達が官業のJOGMECだからできるということは、ありえない。政策としてもありえないものだが、この検討を行った審議会のメンバーの多くは、経済産業省のOBだった。

 拙著『エネルギー政策は国家なり』でも書かせていただいたが、日本の国際資源戦略がこの国の命運を握っていると言っても過言ではない。こんな国賊的な法案を、国会は黙って通してはいけない。まったくメディアでは報道されない法案であるが、明日からの国会で厳しい議論が行われることに期待したい。

 

エネルギー政策は国家なり

エネルギー政策は国家なり

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