福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

土地に生きる人々と政治の役割

〇私の選挙区のかなり奥の方の集落を約10年ぶりに歩いた。崖の上の畑で作業をしているおばあさんがいたので声をかけたら、96歳でこの地で一人暮らしをしているとのこと。

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「昔は今の倍以上の戸数があったけど、一つ奥の集落は消えてしまった。最近はイノシシに屋敷や畑が荒らされるから、ぽつりぽつりと出ていってしまう。仲の良かった友達の家も、みんな空き家になってしまった。息子夫婦も、子供が高校生になったら水戸に引っ越していった」

 ひとしきりお話をしていたら、

「今日はこうしてお話ができて、とってもいい日だった」

とおっしゃっていただいて、亡き母を思い出して泣きそうになった。

 なるほど、かろうじて美しい棚田はまだ残っているが、前回は人が住んでいたところが半分くらい空き家になっていた。住んでいる人は人恋しいのか、みんないろいろと話しかけてきてくれた。

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 都会の合理的な思考をする人は、「そんな不便なところ、早く引っ越して便利なところに行けばいいじゃないか。その方が行政コストも安くなる」と言うが、政治は合理性や論理的な正しさを実現するためにやるものではない。

 多くの先達が長い歴史を紡いできた土地で生業をなし、ささやかな幸せを得られる社会にすることこそが政治の役割である、と改めて強く胸に刻んだ。このような思いを胸に、安倍総理と平成28年1月12日の予算委員会で交わした議論を、参考までに紹介させていただくので、ご興味のある方はご一読を。

 

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○福島委員 (中略)安倍総理のホームページにこういう写真があります。「美しい国、日本」。本当に「美しい国、日本」だと思います。これは選挙の途中の写真だと思いますけれども、総理の地元の棚田、ちょっと草を刈っていないのが気になりますけれども、そこで総理が九十度腰をかがめておばあちゃんに挨拶している。TPPをやったら、こういうおばあちゃんたちはまだ農業を続けられますか。こういう棚田はどうなりますか。総理、お答えください。

○安倍内閣総理大臣 私の地元は中山間地域でありまして、特に日本海側には棚田が続いているわけでございますが、既にさまざまな工夫が始まっておりまして、いわばたくさんの観光客を集めながら一緒に田植えをしたりとか、そこでさまざまな、例えばファッションショーをやったりとか、そういうこともしながら、観光客もふやしつつ六次産業化を図っているところでございます。

 また、棚田におきましてもう一工夫、二工夫を加えながら、天日干しもしながらブランド化し、一俵当たりの値段を上げていく努力をしているわけでございまして、特に私の地元におけるお米につきましては、かつては平均よりも安かったりとかしたんですが、今や魚沼産のコシヒカリよりも高く売れる米も出てきているわけでございまして、そうした努力も重ねているわけでございます。

 もちろん、多くの田については、高齢者の方々が携わりながらも、しかし一生懸命やっておられます。同時に多面的な機能も果たしているわけでございますから、そうしたこともしっかりと勘案しながら、生産性を上げ、ブランド化を図ると同時に、多面的な機能も果たしているということも勘案しながら、しっかりと守るべきものは守っていきたいと考えております。

○福島委員 私は、特定のすばらしい例は、それはすばらしいと思うんですよ。でも、多くのここにいらっしゃる皆さん方も地元を回って、中山間地の方々はそうなっていないと思いますよ。九千六百円の(コメの)価格だったら、恐らくほとんどの人はやめますよ。農地中間管理機構に出せと言っても、棚田のような大きくできない田んぼは、誰も借り手なんていないですよ。私の地元では、そうしたところはみんなイノシシの運動場になっちゃっている。福島先生、イノシシを駆除するために自衛隊を出してくださいというところまでいるのが現実ですよ。

 私は、そういうことを正直に言った上でTPPの対策の議論をしないと、このポスターがありますけれども、理解を得られないと思うんですよ。