福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

安保法案の審議について

いよいよ安全保障法制の国会審議も採決に向けた動きが始まり、押し迫った状況となっている。私は、時には特別委員会の審議に参加しながらこの間ずっと審議をみてきたが、総理や防衛大臣の答弁は具体的な事象を問われると、まったく日本語にもなっていないアヤフヤな答弁をしたり、政府内部での答弁がぶれたりすることばかりであり、現在の政府の条文案では憲法違反の運用がなされること恐れが極めて大きい重大な欠陥のある法案と言わざるを得ず、これを成立させることにはやはり反対である。

 一方、民主党は「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」という基本理念を示しており、これは多くの皆さんの賛同を得られるのではないかと思う。ところが、この間地元を歩いていると、安倍政権の暴走に対する懸念の声は日々高まるばかりであるが、民主党に対する評価は決して芳しいものではない。国民の多くの皆さんは、憲法による制約を制約とも思わず、専制君主のように振る舞う安倍政権に対して、何か根本的な間違いを犯しているのではないかという不安がある一方、中国の南シナ海の離島での軍事基地建設のための埋め...立てや東シナ海のガス田の軍事施設化などの最近の動きにも大いなる不安を持っているのも確かである。「「近くは現実的に」というのであれば、一体民主党はこうした事態に具体的にどのように対処してくれるの?」というのが率直な疑問なのであろう。

 今回の法案審議での安倍政権の対応は、確かにひどいし、支持率も下落を続けている。しかし、これを敵失と喜び勇んで抵抗の姿勢を示しているだけでは、国民の信頼は決して得られない。カウンターパンチを浴びせるだけで、安倍政権の評判が悪いからそのうちこちらに支持が来るだろうというスケベ心は、必ずや国民の皆さんに見透かされてしまうことであろう。今現に我が国が直面している/近いうちに直面する可能性がある事態に対して、今の法制度でどこまで対応できるのか、何が新たに必要なのか。現行憲法の下ではギリギリどこまでが許容され、憲法を変えなければ対応できないことはあるのか。そうしたことについて侃侃諤々と真剣に議論した上で、法案にすべきことは法案にして国会で議論しなければ、責任を持った政党として認められないであろう。

 維新の党は、与党に対する国会対応自体はいかがかと思われるところは多々あるが、専門家によるリーガルチェックを経たうえで合憲性の高い対案を提示していることは評価すべきであるし、内容自体もかなり出来がよいものであると思う。これまでの安保法制の境界線上の事象、いわゆる「グレーゾーン」に対応するための領域警備法民主党と維新の党とで共同提出をすることとなったが、それ以外にも民主党内ではさまざまな議論を積み重ねてきた。4月28日にとりまとめた『安全保障法制に関する民主党の考え方』では「近隣有事における日米同盟協力の深化などについて必要な措置を取るべきものと考える。このため、個別的自衛権における武力攻撃の着手の評価のあり方、周辺事態法や海上輸送規制法改正等の可能性も含め、必要な措置を検討する」などとしている。今の政府案ではピントが外れている周辺事態法の改正案などをいつでも提示できるはずなのだ。

 「近くは現実的に」というのであれば、その現実的な案を示してこそ責任ある野党の姿であり、もはや採決まで差し迫った状況なのかもしれないが、現行憲法の枠内でどこまでの安全保障法制を構築することができるのかについて、堂々と与党と議論を交わすべき時が来ているのではないか。勇ましいことを言う割には、具体的な安全保障論になると空っきし現実離れした抽象的なスローガンばかり言う安倍政権との違いを明確にするチャンスなのではないか。今朝の党の外務・防衛合同部門会議では、そのような思いの一端を述べさせていただいた。

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