福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

「再エネ発電 事前に協議」

○昨日の全豪オープンでの大坂なおみ選手、すごかったですね。BLMで勇気をもって発言するなど、人間としての成長がプレーにも大きく影響しているように思いました。

 さて、今日の読売新聞の1面は「再エネ発電 事前に協議」というタイトルで、環境省が地球温暖化対策推進法の改正法案を今国会に提出して、住民合意を得ながら太陽光発電などの設置を進める制度を導入するというもの。

 かつて、笠間市での森林を切り拓き、景観を壊し、田んぼなどへの土砂流出などを招いているメガソーラー開発の事例を紹介したが、各地で再生可能エネルギー開発を巡る地元との対立が頻発する中で、方向性としては歓迎したい。まだ条文を見ていないので詳細な論評をできないが、いくつか気になる点がある。

 まず名称が再エネ発電施設の「促進地域」ということだから、導入を進めることが前提なのだろう。最近、私のところに持ち込まれた相談で次のような事例があった。

・畑の真ん中の第2種農地を売って太陽光発電を行いたい。
・その農地にパネルを置かれると、周辺の農家の営農に支障が生じるので、他の農家は全員反対。
・とりわけその周辺ではGI登録をした水戸柔甘ネギを地域みんなで栽培していて新規就農希望者も出てきているので、将来は農地を集団化して産地形成したい。
・なんとか、農地転用を阻止できないか。

 農地法第5条では、農地を農地以外の目的で使用するために所有権を移転する場合には、許可(原則禁止で要件に合う場合のみ認める)を受けなければらないことになっている。そして、同条第2項では許可を受けられない事例として、「農地・・・に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき」というものが掲げられている。

 この周辺には、すぐ近所にもメガソーラーがあるくらい、農地以外で空いている土地はふんだんにあるのだから、素直に条文を読めばこれに当てはまる。しかし、実際にはその運用は水戸市の農業委員会に委ねられており、この条文が適用された事例はないという。農水省本省や市の農業委員会事務局にも法解釈を確認したが、あいまいなものだった。結局、多数決の農業委員会では先週許可が下りてしまった。

 この事例では、利益を得られるのは他所からやってきた太陽光発電所設置者と農地売却者1名のみ。許可を下ろすことによって、周辺の農家の営農に迷惑が掛かり、地道に積み重ねてきた地元農家集団のブランド産地づくりにも影響を与える。にもかかわらず、現行法令上止めることはできないのだ。

 地球温対推進法のような一般法以外の個別法に、再生可能エネルギーと関わるさまざまな法律の穴や欠陥があるのは確かだ。再生可能エネルギーの推進は重要課題であるが、それによって他の利益を犠牲にすることは望まれない。そうした利害の対立を調整することにこそ、法令の役割がある。

 今回の法改正が、そうした個別法にまで踏み込んだものになっているのかどうか、本来は当事者として議論したいのだが、それができない今、今後の議論に注目したい。

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