福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

亡き母を思い出す

〇これを読んでいて、昨年亡くなった母を思い出した。

aria.nikkei.com

 数年前、突然私の携帯に知らない番号から連絡が来て、母と旅行に行っている母の友人から「お母さんボケ始めているから、ちゃんと面倒見て」と言われたが、にわかには信じられなかった。

 一昨年の夏、解散総選挙があるかもしれないという中で、母はへそくりを現金にして数百万円手元に持っていて、オレオレ詐欺に遭ってしまった。弟と実家に駆けつけたが、まだ騙されていることを理解でず、「わざわざ二人とも来てくれてありがとう」と喜んでいる母を見て認知症が始まっていることを確信した。夫婦仲が悪く、父の言うことは一切聞かない母に、病院で診断を受けることを求めた。結果はアルツハイマー型認知症が中程度まで進んでいるということだった。

 その秋に息子と犬を連れて母に会いに行った時には、もう時々会話が通じず、弟の名前や自分が出た学校もすぐに出なくなっていた。道が分からなくて、駅から自宅にもタクシーで帰ることができないという。味噌汁すら作り方を忘れる時がある、とも言う。いずれ自分も分からなくなってしまうだろうと悲しい気持ちになったが、そうなる前に数か月後母は逝った。

 母の遺品の手帳には、忘れないように家族の名前や自分の経歴などが何度も書かれていた。次の選挙の時のためにと、お世話になってきた支援者の名前もいっぱい書かれていて、子を心配する母の気持ちに涙が止まらなかった。

 私は、18年前に選挙に出馬し、その後多くの期間を自分の家族の生活すら満足に守れない浪人生活として送る中で、年老いた自分の父母の面倒も十分に見てこられなかった。今も年老いた父が、一人で遠いところに暮らしている。地元を回っていても、毎日毎日数多くの一人暮らしの高齢者のお宅を訪ねる。少子化・高学歴化が進む中で、東京の大学に行かせた息子や娘は、実家にはなかなか帰ってこない。

 我が子の幸せを願って子どもを大切に育てた結果、寂しい老後を送ってしまうような世の中は、切ない。こんな親不孝な私が、政治に携わる資格はあるのかとも思うし、今すぐ具体的な政策が思い浮かぶわけでもないが、政治が直視すべき大きな問題として抱え続けていかなければならない。