福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

今回の名護市長選から見えてくるもの

〇この朝日新聞の有料記事は、示唆に富む。

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【――渡具知氏の勝利にはさまざまな要因があると思います。ただ、朝日新聞社と琉球朝日放送が16、17日に実施した世論調査では、辺野古移設への「反対」が前回2018年より減っていました。渡具知氏には30代以下の若い世代から支持が集まっていました。

「私が所属する研究グループで、沖縄と本土で2017年秋に意識調査をしました。『普天間飛行場は、名護市辺野古に移設すべきだ』という問いに、沖縄の18~34歳で最も多かった答えは『どちらともいえない』(39・1%、四捨五入。以下同)でした。一方で65歳以上で最も多かったのは『そう思わない』(62・2%)でした」

「沖縄の若者の『どちらともいえない』は、本土の『どちらともいえない』とは少し意味が違うようにも感じます。移設に反対したところで、政権はいや応なしに工事を進めてくる。反対してもその先が期待できるのか、という葛藤のようなものがあるのではないでしょうか。これは、どの世代も多かれ少なかれ抱いているとは思いますが」

――沖縄はおしなべて基地に強く反対しているというのが、本土のイメージだと思います。

「もちろん『基地が集中しているのは不平等だ』と答えるほうが、いまでも多数派です。しかし例えば、米軍基地反対を主張する市民団体への好感度をきくと、沖縄の18~34歳ではマイナス評価が41・8%。全国のどの年代よりもマイナスが多くなりました」】

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 私は、敗戦国日本の象徴である在日米軍基地は極力減らすべきであると考えるし、沖縄にばかり基地負担を押し付けていることに、後ろめたく申し訳ない思いを持っている。

 その上で、今回の名護市長選は、世代によってきれいに支持傾向が分かれることに注目すべきだ。高齢者ほど米軍基地の辺野古移設に反対し、若年ほど反対は少なく「どちらともいえない」が多くなる。これを、高齢者が若者に「戦争体験の希薄化」とか「無気力」とか「政治意識の欠如」と批判するのは、簡単だ。

 しかし、私が注目するのは、「米軍基地反対を主張する市民団体への好感度」だ。沖縄県の65歳以上の3分の2が市民団に好感度を持っているのに対して、18~34歳の若者は2割も好感度を持っていない。その倍の若者はむしろ反感を持っている。

 これは、当然沖縄特有の複雑な県民感情があるものの、沖縄の基地問題に限らず全国のさまざまな政治問題についても、高齢者層と若年層の価値観の違いがあらわになっているものととらえるべきではないかと思う。いわゆる「市民派」の集会の顔ぶれは、高齢者が圧倒的に多い。私の地元でも、「51歳の私が一番若い」という時もかなり多い。「若い人が来ない」という嘆きは日常茶飯事だが、なぜ若い人が来ないかは、なかなか想像力をはたらかせようとはしない。

 まず第一に、基地反対にしても、憲法改正反対にしても、20世紀のイデオロギーの臭いがするものには、私たちの世代でも関わりたくない。次に、集会を開いて、理屈っぽい話を聞いて、シュプレヒコールを上げて、というスタイルは、高度成長期と違って明日の見通せない「自分たちの生活が第一」の世代にとっては、まどろっこしく、有閑な特権階級の「倶楽部活動」のように見えてしまう。今はネットを通じて、いくらでも自分の意見を上げられるし、権力と直接つながった気分にもなれる。

 私は、だからと言って、政府がやることに無条件で賛成したり、反対の声をあきらめるべきではないと思う。しかし、昭和の時代から続く運動を続けている限り、若い世代はそこにシンパシーを感じることはない、むしろ「一緒にされたくない」と避けるのが心情だろう。

 今や、野党支持層と「辺野古移設反対」と答える層は、ほぼ重なっている。そうだとするなら、野党勢力は、運動論を根本から考え直さなければ、今の若者世代が高齢者になる3、40年の間は、政権を獲ることはないだろう。いや、そもそも、若者世代に支持されない政党が政権を獲る正当性も、薄いだろう。政治にとって、これまで頑張ってきた年齢層に報いることも大事だが、未来を担う層が活躍できる社会を作ることは、もっと大事なことだからだ。

 私は、その時には生きていない。自分にとって与えられた深刻な課題として、何をなすべきか、考えなければならない。その一つの道は、国会の場で、本気になって取っ組み合いをするくらいの真剣な戦いをする姿を見せることだと考えている。野党勢力は、果たしてどのくらいの危機感を持っているのだろうか。