〇昨日投開票が行われた衆参二つの補欠選挙は、岸田政権苦戦、野党善戦などと報道されているが、私たちは選挙結果に表れた国民の思いに虚心坦懐に向き合わなければならない。また、所沢市長選挙で、私と同期当選で10年以上浪人の苦労を味わってきた小野塚勝俊さんが、無所属で出馬して自公推薦の現職候補を破ったのも、同じ動きだ。
徳島・高知選挙区の参議院補選では、無所属候補が圧勝。告示前には横一線だったのを選挙戦で一気に突き放した。その要因は、無党派層の8割を獲得し、自民党支持層の3割が投票したこと。
一方、長崎4区の衆議院補選では、立憲民主党公認候補は敗北。前回の同一候補の惜敗率を下回っているから、善戦とは言えない。無党派層は6割獲得したものの、自民党支持層は1割弱しか投票していない。徳島・高知の参議院補選ほど選挙戦に入って伸びずに勝ちきれなかったのは、この層を掴めなかったのが原因だろう。
地方の選挙区では自民党支持率は4割以上あるから、その3割が投票するだけで野党第一党の投票総数より上回る。さらに、それと同票数分自民党候補の票が減る。1人しか当選できない選挙戦では、ここが一番の勝負所だ。私たち有志の会のメンバーは全員、前回の衆議院選の出口調査では自民党支持者の3割以上が投票してくれている。
これらから読み取れることは、以下の通りだ。
『国民の多くは岸田政権にはうんざりしている。自民党の政治にも、自民党を支援してきた人にすらもう飽き飽きだ。だからと言って、今の野党を支持する気にはなれない。今ある政党には入れたくないが、「党より人物」で裸一貫国民の評価を受けようとするなら、一度期待してみよう。』
野党側は野党が一本化したことが善戦の要因と考えている節もあるようだが、それは必要条件でしかない。野党共闘が自己目的化すれば、長崎の衆議院補選と同じように、惜敗程度で終わるだけだろう。今日本が抱える課題に対応できる現実的な政策や能力が備わっているか、それを実現するために既存の政治の枠組みを飛び出してでも行動する本気があるかどうか、そこを国民は見ている。
そうだとすれば、今いる野党議員が起こすべき行動は、明らかだ。既存政党の殻に閉じこもっている時ではない。