福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

単なる国の施設でよいのか、福島国際研究教育機構

〇やはり危惧していたとおりになってしまった。国立大学で無難に文部科学省が認める大学運営をしてきただけの人が、「世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」」(福島国際研究教育機構基本構想)を作れるのだろうか。経歴を見る限り、それほど国際的に通用する学者とも思えず、世界から優秀な研究者を引っ張ってこられるような人脈や能力があるとも思えない。

www.tokyo-np.co.jp

 故尾身幸次先生が人生を賭けて尽力された沖縄科学技術大学院大学は、それなりに成功していると評価されているが、学長には5,000万円以上の報酬を出して外国人を連れて来ていて、大学の評議員にはノーベル賞受賞者が何人も名を連ねている。そうした環境に惹かれて、世界中から多くの若者が集まってきている。

 福島国際研究教育機構は、残念ながらそのようなものにはならないだろう。地元に復興に取り組んでいる姿勢を示すだけの、単なる国の施設ができるだけになるだろう。以下に、5月10日衆議院東日本大震災復興特別委員会で、こうなることを危惧した私の質疑を引用する。

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○福島委員 
 国際研究教育機構、この福島のやつがどういう組織を目指すのかという理念とか哲学というのが、私は非常に大事だと思うんですね。
 尾身先生は沖縄のこのときに、この本で書いてありますけれども、彼はライフサイエンスに重点を置いていましたから、ライフサイエンス研究からバイオテクノロジー産業を集積させ、沖縄を変え、日本を変え、世界を変えるんだという大きな構想を描いているんですね。
 当時の沖縄の科学技術研究基盤機構整備法の中にも、沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する研究及び開発等を推進することにより、沖縄の自立的な発展及び世界の科学技術の発展に寄与することを目的とするという理念とかが明確にあるんですが、この福島の機構には残念ながらないんですね。法律の中にも全然ないんですよ。私は、それが大事だと思うんです。
 もう一つ大事なのは、やはりトップですよ、理事長です。この委員会でも何度も問題になっておりました。
 このOIST法の中では、学園の理事は、人格が高潔で、学識に優れ、かつ、学園の業務を適切かつ効果的に運営できる能力ということで、人格の高潔と学識が優れていることが第一の条件なんですよ。
 でも、この法案の百二条第一項第一号に掲げる理事長及び理事の要件は、機構が行う事務及び事業に関して高度な知識、経験を有する者。知識と学識は全然違いますよ。事務及び事業に対して高度な知識及び経験を有する者というのは、官僚ですよ。これから見たら、理事長は天下りなんじゃないかとも思えるんですけれども、法律の条文が違うんですよ、沖縄と明確に。
 違うということは、違うようなタイプの理事長を想定しているとしか思えないんですけれども、具体的にどういう方を想定しているんでしょうか。

○林(俊)政府参考人
 お答えをいたします。
 委員が御指摘をされましたように、この法案におきます機構の理事長及び理事の要件につきましては、法案の百二条第一項第一号で「機構が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者」、こう規定をしておりまして、機構の設立の趣旨を深く理解をしていただいた上で、高いマネジメント能力と高度な科学技術に関する知見、こういった方を想定をしておるものでございます。
 具体的には、例えば、一定規模以上の組織を運営をした経験をお持ちであることや、世界的にも高く評価される研究実績などが考慮すべき点であると考えております。

○福島委員
 そう答弁しても、そう見えないと思うんですね。しかも、やはり最初が運営なんですよ、マネジャーが最初であって。
 やはり、研究者はスター選手に集まるんですよ。立派な学長の、世界的なノーベル賞級の人が来たら研究者は集まるけれども、世界的に有名な学校の運営者が来たって、人は集まりませんよ。だから、沖縄の場合は人格高潔、学識が優れ、誰もが、研究者が尊敬するというのを言っているのに、この条文を作ったのは何でといったら、独立行政法人のほかとの並びだと言っているわけですよ。それからして熱がない。
 しかも、これはおまけのように今度は二号というのがあって、「前号に掲げる者のほか、機構が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者」も理事長ができるんですよ。これは一号と何が違うかといったら、高度な知識や経験がないんですよ。高度な知識や経験がない人を理事に入れるというこの条文は、何のために入れたんですか。

○林(俊)政府参考人
 お答えをいたします。
 この御指摘の第二号につきましては、必ずしも高度な科学技術の知識は持っていなくても、この機構の設立の趣旨を理解をしていただいた上で、マネジメント能力の高い方が理事に就くことも想定をしておりまして、具体的には、先ほどとちょっと同様になりますけれども、一定規模以上の組織を運営した経験などをお持ちの方が考慮すべき点として想定をして、この規定を設けたものでございます。

○福島委員
 だから、何としても役人を入れたいというのがありありなんですよ。学識がなくてもマネジメント能力があるって、役人じゃないですか。
 しかも、理事は、五人なんですよ。そのうちの二人は監事なので、運営に関わりません。運営に関わる理事は僅か三人しかいないんですよ、その三人しかいない。
 沖縄はどのぐらいいるかといったら、資料二がありますけれども、常勤二名、非常勤十六名で、これだけの方が理事にいるんですよ。研究分野といっても、いろいろな研究分野がありますから、それぞれの方もいらっしゃれば、沖縄にちゃんとルーツがある人もいるわけですね。
 だから、OIST法の第七条二項では、「学園の理事には、次に掲げる者が含まれるようにしなければならない。」といって、科学技術の発展に関し特に功績顕著な科学者が一号、二号に沖縄の振興に関して優れた識見を有する者、三号で最後に、大学の経営に関し高度な知識及び経験を有する者。
 さっきから答弁を聞いていると、経営、経営と、そこばかりなんですよ。科学技術の発展と福島の振興という二つの言葉は、理事の経営の要件には何も出てこないんですよ。
 大臣、法律をちゃんと読んだ方がいいんですよ。役人の思いは法律に込められているんですよ。このままいったら、福島国際研究教育機構、これは単なる天下りの巣窟になっちゃう可能性だってあるんですよ。理事選び、しっかりすることを約束していただけませんでしょうか。