〇コロナ禍が明けて久しぶりに開かれた、東京大学運動会ヨット部追い出しコンパ(卒部生を送る会)。今年は、17年間にわたって部長を務めてくださった松下淳一先生への感謝の会も兼ねています。
創設90年を迎える歴代東大ヨット部長は、故三日月章元法相・東大名誉教授を皮切りに、代々民事訴訟法の大家が務めてくださっています。私が現役の時は、三日月先生のお弟子さんの青山善光元東大副学長。部長を退任する松下先生は、青山先生のお弟子さん。松下先生を引き継ぐのは、垣内秀介教授・法科大学院専攻長です。
もっとも、現役時代はそんな偉い先生だと知らずに、ただなんとなく賢そうな顔をした先生が部長だな、くらいにしか思っていませんでした。現役選手からの挨拶でも、「先日民事訴訟法の試験の時はじめて大学で先生にお目にかかりました」とあって、30年経っても変わっていないなと思いました。
今年度の代は、私たちの代以来、人数も多く、優秀なセーラーが揃っていた代で、合宿所も新築され、全日本インカレでの上位が期待されていました。しかし、その期待には応えられず。私たちの代も、新たに八景島の合宿に移転し、私が全日本インカレ個人準優勝、僚艇が4位とトップレベルのセーラーが揃っていて、全日本での優勝も狙えると言われていましたが、結局団体戦では関東の予選で敗退。東大生は、個の力があっても団体での力を発揮するのが苦手な傾向があります。
私は、その悔しさが、厳しい選挙に出るという苦難の挑戦をする人生の原点となりました。今年の卒部生の皆さんにも、この悔しさをこれからの人生にぶつけて、より困難なことに挑戦し、社会や国家に貢献してほしいと思います。
最後は「東(ひんがし)の海」というヨット部歌を現役・OBみんなで肩を組んで歌います。この格調高い部歌を作った真山道晟(慎道晟)は、戦前の朝鮮半島出身。戦後は韓国の法曹界のリーダーとなり、時の政権に大きな影響を与えた方です。100周年に向けて、みんなで伝統を引き継いでまいります。