福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

「NTT法改正法案」「セキュリティ・クリアランス法案」の原案に反対いたしました

〇昨日の本会議では、私たち有志の会はNTT法改正法案に反対いたしました。同日の内閣委員会では「セキュリティ・クリアランス法案」の原案に反対いたしました。いずれも、反対は日本共産党とれいわ新撰組のみですが、私たちの反対理由とは違うと思います。

 まず、NTT法改正法案ですが、議員会館と地元の事務所にはFAXや電話で反対するような要請が多数来ました。でも、おそらくこの人たちは、ちゃんと法案の条文を読んでいません。この法案はNTT法を廃止する法案ではありません。ネットで出回っているような、「外資が乗っ取る」という話でもありません。NTTの責務から、「研究の推進」と「研究成果の普及」を外し、外国人役員を1/3まで認めるなどを内容とする法案です。

 おそらくNTTをユニバーサルサービスの義務などの公的役割から解放されて自由自在の経営をさせたい特定の政治勢力と、その他の通信会社との競争環境を保ちたい政治勢力とのせめぎあいの中で作られた法律なのでしょう。この法案の附則に「政府は……日本電信電話株式会社等の法律の廃止を含め……制度の在り方について、検討を加え、その結果に基づいて、令和7年に開会される国会の常会を目途として、日本電信電話株式会社等に対する規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講じるための法律案を国会に提出するものとする」という条文が規定されています。

 言うまでもなく、国会は立法府であり、国権の最高機関であると憲法に掲げられていますが、その立法府で「行政府が来年の国会に法律を提出する」などという規定を認めるのは、自らを否定するようなものです。ましてや、来年なのですから、政府が提出するなら今年の改正分も含めて検討を尽くしてまとめて法案を作るのが筋でしょう。法案内容以前の問題です。

 法案自体も、政治的妥協の産物で作られたものであるため、滅茶苦茶。私たちの会派に対する説明で、総務省の官僚も答弁に苦慮していましたから、賛成しようがありません。こんな糞みたいな法案に賛成する野党第一党、第二党の気が知れません。来年の国会を政権交代して臨む気があるなら、このような附則を持った法案に賛成するはずがありません。情けないものです。

 セキュリティ・クリアランス法案については、国際的な共同研究開発等を行うために、安全保障上機微にわたる情報を管理するための仕組みを設ける趣旨には賛同いたします。しかし、この法案の出来が悪すぎる。我が会派の緒方議員が的確な反対討論をしておりますので、ぜひご一読ください。定義が明確となっておらず、肝心の適正評価の仕組みも杜撰。民間事業者のためと思って作ったこの法案では、逆に日本の企業は迷惑を受けることとなるでしょう。

 このような粗悪法案にも、野党第一党は修正案を認めてもらったとして、賛成。その修正案は、この法案の本質的な欠陥を補うものではありません。報道によると、野党第一党は、政権担当能力を示すために賛成したということですが、政権担当能力とは自民党同じ法律を作る能力のことではありません。出来の悪い自民党政権の法律を上回る法律を作れないのでは、自民党に代わって政権を担当する意味はないでしょう。

 私たち有志の会は、イデオロギーに基づく賛否や政局的思惑での賛否ではなく、法案の一条一条を丹念に読んで、立法府として法律にすべきものなのかどうかという観点から、一つ一つの法案への態度を決めてまいります。それにしても、本来盛り上がるべき今年の通常国会は、情けないものになってしまっています。

 

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緒方林太郎議員の見事な反対討論

【採決時の討論】

 採決に際し、セキュリティ・クリアランス法に反対、経済安保推進法改正に賛成、修正案すべてに賛成の立場から討論いたします。

 セキュリティ・クリアランスの必要性は大いに同意しますが、法案を最初に聴取した際、我が会派の全議員が幾つかの違和感を持ちました。そして、審議を経て、その違和感はかなり具体的なものとなりました。法案の出来栄えが良くないというのが感想です。本来であれば、詰めておくべきポイントが詰め切れていません。私の官僚経験からして、優秀な霞ヶ関の諸姉諸兄が見逃すはずのない部分が放置されています。推察するに、この法律は何らかの理由で急いで作成したのだろうと思います。

 立法事実、重要経済安保情報の定義、特定秘密保護法との関係等、本委員会での審議を聞いていても得心出来ない事がかなり残りました。例えば、特定秘密保護法との「シームレス」を強調していましたが、実際にはシームが目に付きます。要するにシームレスでない事を覆い隠す方便ではないかと疑っています。また、一昨日の私の質疑については、きちんと質問通告したにもかかわらず、その答弁は殆ど意味不明なものでした。

 「国会を舐めてはいけない」、この点は明確にお伝えしておきたい。この場は単なる通過儀礼ではありません。一定の質問時間を経れば、与党賛成で通過していくというものでもありません。また、この程度の審議内容で採決の条件が整っていると判断した理事各位には警句を鳴らしておきます。総理訪米前の採決を前提に動いていたようでありますが、出来の悪いものを持って来てそのような前提を置かれても困ります。逆に言うと、非常に本質的な問題点を指摘していた野党の方々が、大した答弁を得ていないのに賛成に回っているのが不思議でなりません。なお、私の見立てでは、今回の6会派提出修正案の部分は、野党取り込みのために予め用意していた「譲歩用」だと思います。

 この10数年、この種の安保関係の法案に反対すると、「政権担当能力がない」という言葉が投げつけられるのが常態化しました。安保関係で威勢のいいことを言えば愛国心があるという発想そのものが安っぽいものであり、国家にとって有害です。我々の会派はしっかりとした国家観を持ち、反対が自己目的化するような事はしていません。その一方で、条文をきちんと議論して納得しないのであれば、他の全会派が賛成しても単独で反対する気概を持っています。内閣官房・内閣府の方々は、今後も出来の悪い法案を持ち込んだら、国会答弁がいい加減だったら、反対される、この当たり前の理屈を理解し、緊張感を持って臨んでほしいと思います。

 以上、私の思いを述べた上で討論といたします。


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