福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

今日の本会議で二つの法案に反対した理由

〇国会の周りの桜は葉桜になりつつあります。国会の建物の中にいると、つい季節を忘れてしまいます。

 今日の本会議では、私たちの会派は二つの法案に反対をしました。他に反対した政党とは反対理由は別のところにあると思います。まずGX(脱炭素化)推進法ですが、もちろん脱炭素化社会への移行には反対する人はいないでしょう。他の野党は、その手段に原子力が含まれているのが気に入らないようですが、私たちの会派が反対する理由はそこにありません。

 この法案では、今後10年間で政府は20兆円規模のGX関連の投資を行い、その財源を新たな国債のGX債で賄うこととしております。そのGX債の償還財源として、化石燃料賦課金と排出量取引制度負担金を創設することとしております。問題点の一つは、GX債の償還は2050年に終わることが法定化されているのに、化石燃料賦課金と排出量取引制度負担金の徴収に期限はありません。これらは、エネルギー特別会計に入りますが、何に使われるか決まっていないことに賦課金や負担金を徴収するのはおかしな話です。

 さらに、賦課金や負担金は税金ではないので、その額は法律ではなく政令で決められます。国会が関与できず、お役所の匙加減で決まってしまうのです。最近、こうした賦課金方式の制度が増えていますが、これは国会審議を逃れるための財政民主主義に反する制度と言わざるを得ません。

 また、その肝心な排出量取引制度については「別に法律で定める」として、この法案では何ら示されていません。こんな立法府を馬鹿にした話はありません。具体的な制度を明らかにしない上に新たな負担を国民にかける制度に、立法府の人間として賛成しようがないのです。枝葉末節の附則の修文案で賛成に回った維新や国民民主党は、なぜこの法案に賛成したのか理解できません。条文をちゃんと読んでいるのでしょうか。

 もう一つの新型インフル特措法は、岸田首相肝いりの「感染症危機管理庁」を設置する法案です。一見素晴らしい法案のように見えますが、新たに内閣官房に行政組織を作ってしまったために逆に指揮命令系統が混乱することになってしまいます。今はコロナ対策は後藤特命大臣が当たっていますが、この法案では内閣官房長官が当たることになります。内閣官房長官は毎日2回の記者会見をはじめ超多忙。いざという時にコロナ対策に全力投球できるわけがありません。国立感染症研究所などの専門機関との連携ができるような規定もありません。仕事ができないリーダーがやる「新しい組織を作って仕事をやったふりをする」という典型なのです。

 私たちは5人の小所帯ですが、他のどの党より条文を読み込んで法案の賛否を慎重に判断しています。最近は、国権の最高機関である立法府の役割を自ら放棄するような国会を舐めた法案を政府が提出し、野党も易々と従っているように思います。私が役所にいた四半世紀前には考えられないような法案が、続々と成立しているのです。与党の法案審査がどうなっているのか、その能力と認識に危機感を持たざるを得ません。そして、日本の統治機構全体の危機でもあることを、私たちは気づかなければなりません。

 

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 こういう報道を読んでも、国民は何もわかりません。記者も、役所の説明を鵜吞みにするだけで、法案の中身がわかっていません。

コロナ対策改正案が衆院通過 感染症危機管理庁を新設:時事ドットコム

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