福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

超党派・石橋湛山研究会の研修会

〇超党派の石橋湛山研究会の研修会で、山梨県甲府市の山梨平和ミュージアム・石橋湛山記念館に行ってまいりました。父が日蓮宗の高僧だった湛山は、高校までを甲府の地で過ごしております。

 早熟な湛山の旧制中学時代の評論や学籍簿などの貴重な資料が展示されていました。飛び級で入学したものの、2回旧制中学で落第しているなど、学校嫌いだった私にとって共感できるような甲府時代の青春期。ますます湛山を深く学んでみようと思いました。

 甲府一高の日本史教諭だった浅川保館長は、湛山の字引のような先生。湛山に関する談議に話の花が咲きました。湛山の重要な支援者だった沼津市長を務めた名取栄一(湛山と共に山梨県出身で選挙区が静岡県)は、総理就任の祝賀会で次のように述べている。

【かへり見るに今日まで自民党総裁と云い総理大臣といふも、そのほとんどが門地門閥を背景にし、陰に陽にその推挙によって決定し、国民の意思に因って決定されていなかったのであります。

 かの平民宰相といわれた原敬首相より鳩山前首相に至るまで、一つとして元老その他封建制力の流れをうけ継がなかった者はなかったと申し上げても過言ではないのであります。

 然るに石橋先生は、操觚会の元老ではあってもまったくの野人であり、門地門閥の人ではないのであります。従いまして、そのなさんとするところは、既成勢力のためでもなく門地門閥名流のためでもなく、ひたすら国民全般の利益のためであらうと思ふのであります】

 まさに今、自民党総裁選が行われようとしているが、石橋首相誕生から60年以上たった自民党は、はたしてどうであろうか?湛山の政治理念は、池田勇人、大平正芳、宮澤喜一と歴代宏池会に引き継がれていたが、今は自民党内で途絶えているという。石橋はさまざまな西洋思想の影響を受けているが、そのベースにあるのは漢学の素養であり、日蓮宗の仏教思想であった。近代西洋を生んだ一神教的価値観ではなく、西洋思想のフィルターを通した多神教的な東洋思想の意義というのは、私が8月号の『月刊日本』で石橋湛山を論じたものと同じである。

 この研修会に同行してくれた湛山研究家のリチャード・ダイク氏は、現在湛山の著作の英訳を進めている。私は、「西洋社会の分断が進む中で、湛山の著作は今の西洋社会でどのように受け止められるか」と問うたが、「うーん、わからないが、それを問うてみたい」ということであった。

 超党派で湛山を学ぶ私たちは、同志でもある。このような時代だからこそ、湛山思想をベースにした世界に通用する政治勢力を作らなければならない。