福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

内閣総理大臣談話

 臨時国会が閉じて国会議員は夏休みかと思われるでしょうが、実は今が一番大事な時期です。官僚たちは徹夜で来年度予算の概算要求案を作成しております。この時期に言うべきことを言っておかないと、自民党時代と同じように官僚主導の予算策定になってしまいますので、連日上京して来年度予算策定に向けた議論をし、夕刻にまた地元にとんぼ返りをするという毎日を送っております。突然内閣から出された「シーリングもどき」など、書きたいことは一杯あるのですが、本日はそれよりも今朝出された日韓併合100年に当たっての首相談話について、書きたいと思います。

 今年は日韓併合100年という節目の年ですから、隣国である韓国と戦後積み上げてきた友好関係の節目となる年であることは確かです。近年のわが国における韓流ブームや地元茨城空港などから来日される多くの韓国の観光客の皆さんとのつながりなどを見ていると、日韓関係は10数年前から信じられないくらい成熟したと実感いたします。経済においても、もはや韓国は新興工業国ではなく、UAEにおける原発の受注に見られるように、世界最先端の技術を持った経済大国として日本と鎬を削るところまで成長してまいりました。私自身も、官僚時代には多くの国際会議で韓国代表団と交流を深めさせていただき、実際の国際交渉の多くの場面でも、共同歩調をとり、まさに兄弟国のような親しみを持っております。

 このようなまさに円熟期とも言える日韓関係ができあがっているときに、相も変らぬ謝罪から始まる首相談話を肩肘張って出す政治的、外交的センスは、私にはまったく理解できません。20数年前の村山内閣のときとは、日韓関係はまったく違う状況にあるのです。歴史と真正面に向き合うことは必要です。でも真の日韓友好を願うのであれば、今日本国の総理大臣が韓国国民に対して発すべきメッセージは、もっと別なものなのではないでしょうか。さまざまな歴史的な不幸を乗り越えて世界や東アジアを牽引する国に成長してきた日本と韓国が、たとえば地球環境問題や核軍縮の問題などに何が貢献できるのか、もっと前を向いた明るいメッセージが出せたはずです。

 かくも談話にこだわるとなると、特定のイデオロギーを発露しようとしている人がいるのではないか、と猜疑心に捉われてしまいます。政府として特定のイデオロギーを発露するのであれば、それぞれの議員にはそれぞれの価値観があるわけですから、与党内でしっかりと議論していただかなければなりません。民主党には未だに綱領というのはないのです。ほとんどの私の周りの議員は、今回の談話には違和感を感じていると言います。小沢前幹事長を独裁的と批判する者が、思想や理念ということに関わることで独裁的な判断をすることは決して許されません。いろいろな思いを持ちながら、私は与党の議員として、菅政権をしっかりと見定めて行き、自らの行動につなげてまいりたいと思います。