福島のぶゆきアーカイブ

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「電力使用率、9割超続く」

〇新型コロナウイルスの第三波も、東京や神奈川ではすでにクラスターを追うための濃厚接触者の検査をあきらめるなど、これまでにない危機的な状況にあるが、その陰であまり報道されていない電力の供給危機の問題が発生している。

 最悪の場合は、2年前に北海道で起きたようなブラックアウト(大規模停電)になる可能性もある。経済性をもって蓄電できない今の技術では、電気は「同時同量の原則」で、需要に即応して発電所を稼働させなければならない。常に電力需要というプールの水が満水でなければ全体に供給できず、仮にプールの水が満水でなくなると広い範囲の電力供給が不可能になってしまうのだ。

 このようなことなっている背景には、寒波の来襲で暖房需要などが高まり電力需要が急増したのに対して、供給能力が不足していることにある。ちょっと前までは、夏の甲子園の時に冷房の部屋でテレビを見る人が増えると電力需要がひっ迫していたが、最近は冬にこのような現象になる。

 そのようになる理由の一つは、FIT(固定価格買取)制度導入以降太陽光発電の比率が上昇し、冬の積雪時に発電能力が低下することにある。そしてもう一つは、今は原発が停止しているのを補うために、主に天然ガスを燃料とする火力発電所に頼っているが、タンカーで海外から持ってこなければならない液化天然ガス(LNG)は急激な燃料需要増に柔軟に対応できず、LNG発電の稼働を増やせないことにある。

 電力の議論は、再生可能エネルギーか原子力かというような電源の話になりがちだ。環境の問題も大事だが、それは安定供給という第一の条件が満たされた上でのことだ。地方の大規模発電所から大消費地に巨大送電線で電気を運ぶために長い時間と膨大なコストをかけて作られてきた日本の送配電網は、再生可能エネルギーの分散型電源の送配電に適したものにはなっていない。再生可能エネルギーの比率を増やしても、それをバックアップするための電源が必要となるが、その燃料の安定供給は担保されたものではない。

 電力システムというのは、複雑で繊細なガラス細工のようなもので、気の遠くなるような微調整を繰り返しながら、制度としても、設備としても出来上がってきたものだ。多くの国民の皆さんは、スイッチを押せば電気が届くのは当たり前だと思っているかもしれないが、見えないところで膨大なコストと労力がかけられているのだ。

 菅総理は「カーボン・ニュートラル」を旗印に掲げているが、それを成し遂げるには単に再生可能エネルギーの発電比率を高めたり、ガソリン車をなくすだけではできず、気の遠くなるような関連するシステムの微細な変更が必要である。私は、それを成し遂げるべきだと考えるが、ぜひ皆さんにもこうした現実を知っていただければと思う。そして、当面は日々電力の安定供給のために見えないところで頑張っている人たちに思いをはせながら、大事に電気を使っていただけませんでしょうか。

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