福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

米国研究製薬工業協会会長と意見交換

〇米国研究製薬工業協会(PhRMA)のDavid A.Ricks会長(イーライリリー社の会長兼CEO)と意見交換を行ってきました。20年来の知己の米国人ロビイストRoy Phauch氏が、こうした勉強会を定期的に開いてくれます。かつて経済産業省のバイオ課でバイオ産業政策を担当してた私にとって、医薬品産業政策はライフワークの一つなのです。

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 Ricks会長は、イーライリリー社の駐中国の責任者もやっていたことがあり、アジアの製薬産業に精通しています。2015年以降の日本の医薬品への投資は、世界が33%増えているのに比して、9%のマイナス。進展著しい世界のバイオ産業の流れから完全に取り残され、2005年に新薬開発の世界でのシェアが10%(それでも小さい)だったのが、2020年には5%に低下し、その代わりに中国が12%と、完全に地位は逆転しました。お隣の韓国にも抜かされています。

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 私がバイオ課にいた時には中国は競争相手ですらなかったのですが、世界の競争に勝ち抜くために必要な制度改革を怠り、日本の製薬産業をぬるま湯に浸からせてきた結果、この惨めな状況になってしまったのです。20年前に当時のファイザー社Mckinnell会長が私に、「薬価を役所がいちいち決めている日本の市場は、マーケットとは言えない。真の資本主義国は中国だ」と言い放ったことを思い出しました。

 なぜ日中間でこのような差が出たのかを問うたところ、中国は初めから世界市場をターゲットとして、「海亀プロジェクト」と称して米国に大量の留学生を出し、米国の製薬会社に就職させ、その人たちが中国に戻って米国の製薬会社と共同して研究開発を行っているのに対して、日本の製薬企業の経営者はリスクをとって思い切った研究開発投資をしていない、ということを挙げていました。

 連日、こうした話を聞くにつけ、何とも言えない胸が締め付けられるような気持になります。もう既に日本の製薬産業は、世界の競争のプレーヤーにすら見られていないのですから、ワクチンの開発が遅れるのは当然です。ついこの20年の間「日本はすごい」「中国経済はいずれ崩壊する」などと島国特有の自己満足に浸っている間に、もう手遅れ寸前にまで落ち込んでしまっているのです。「経済安保で中国を抑えろ」なんて勇ましいことをいう以前の問題なのです。このままの日本でいいのか、一人でも多くの皆さんの覚醒を呼びかけます。