福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

国際協力銀行(JBIC)法改正法案に反対をいたしました

〇今日の本会議において、他の主要野党が賛成する中、私たち有志の会は国際協力銀行(JBIC)法改正法案に反対をいたしました。

 法案の趣旨にあるような、JBICの機能強化を通じて日本の産業の国際競争力の維持・向上に資するサプライチェーンの強靭化やスタートアップ等の日本企業のリスクテイク推進を図ることは大賛成です。

 しかし、立法府である国会議員は法案審議に際して、法案の目的自体よりも法案の条文が適切なものになっているかどうかを、条文ベースで読み込んで判断しなければなりません。国会が賛成した法案の条文こそが実際に効力を持つのですから。財務省は画像にもあるようなわかりやすくもっともらしいポンチ絵をもって政治家に説明しますが、都合の悪いことはここには書かれていません。

 まずこの法案を審査する大前提として、民間ビジネスは民間ベースでやることが原則であり、JBICのような政府系金融機関は民間ではリスクの取れない分野や資金供給が過少となってしまうような分野に限定されなければなりません。20世紀末の金融危機以降、日本の金融機関は海外事業を大幅に引き揚げてしまっていますが、これを政府系金融で代替するなどということは生き馬の目を抜く海外ビジネスの世界においては論外の政策となります。

 たとえば、画像で示した「国内大企業を経由したサプライチェーン強靭化に資する海外事業向け融資」については、これまでは国内中小企業やリスクの大きい大企業の資源ビジネスが対象だったものを、大企業のサプライチェーン強靭化のための資金にまで対象を広げるものです。

 問題は、いかにももっともらいし「サプライチェーンの強靭化」が条文時どう書かれているかです。条文を読んでみると「我が国の法人等・・・による製品の生産に不可欠な原材料その他の物資の開発(製造を含む。)、輸送又は調達に関する事業」等と書かれており、これではJBICの事業に何の制限をかけることにもなりません。他の業務に関する規定では「・・・ものとして財務省令で定めるもの」としていて、あらかじめ限定列挙する枠組みになっていますが、それもありません。

 つまり、この法律が成立すれば、政府系金融機関であるJBICの業務の制約がなくなってしまい、国際的な民間金融を育て政府は民業の補完に徹するという政策でなくなる可能性があるのです。普段は「身を切る改革」などと言っている政党が、「改革」に反する法案に簡単に賛成してしまうことも理解できません。まあ、おそらく条文を読み込めていないのでしょう。

 私たち有志の会は、このように条文をしっかりと読み込んで、法案が成立した後の影響を考慮して反対の判断をしました。こうしたことをこれまで日本の立法府がやってこなかったことが、「法律はできても何も変わらない」という日本の停滞の原因を生んできたのです。

 今日の本会議では、総理の訪印・ウクライナの報告とそれに対する各党からの質疑も行われました。総理自らが答弁する極めて重要な審議だと思われますが、野党第一党・第二党の幹部のほとんどが席を外していました。この国会の体たらくこそが、日本の最大の癌なのです。既存の政治の枠組みをぶっ壊さなければなりません。